2021-10-22
一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定
対象税目
法人税
概要
貸倒引当金の繰入限度額は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分して計算することとされています。
このうち、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算の概要は次のとおりです。
(注) 一括評価金銭債権の範囲については、コード5500「一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲」を参照してください。
実績繰入率に基づく計算(原則)
貸倒引当金の設定対象事業年度末の一括評価金銭債権の帳簿価額に、過去3年間の貸倒損失発生額に基づく実績繰入率を乗じて計算します。
繰入限度額 = 期末一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額 × 貸倒実績率(注)
(注) 貸倒実績率は、次の算式により、小数点以下4位未満を切り上げて計算します。
※ 算式中の「月数」については、暦に従って計算し、1か月に満たない端数が生じたときは、これを1か月とします。なお、貸倒引当金を繰り入れることのできる適用法人は各事業年度終了の時において次の1から5までに掲げる法人に該当する法人に限定されています。
1 普通法人(投資法人および特定目的会社を除きます。)のうち、各事業年度終了の時において資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの(次の(1)または(2)に掲げる法人に該当するものおよび大通算法人を除きます。)または資本もしくは出資を有しないもの(大通算法人を除きます。)です。
(注) 大通算法人については、コード5900「グループ通算制度の概要」を参照してください。
(1) 大法人(次のイからハまでに掲げる法人をいいます。以下1において同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
イ 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
ロ 相互会社および外国相互会社
ハ 受託法人
(2) 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記(1)に掲げる法人を除きます。)
2 公益法人等または協同組合等
3 人格のない社団等
4 銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
5 金融に関する取引に係る金銭債権を有する一定の法人(上記1から4までに掲げる法人を除きます。)
なお、上記5の法人については、この制度の対象となる金銭債権が一定の金銭債権に限定されています。
法定繰入率に基づく計算(中小法人または公益法人等もしくは協同組合等向けの特例)
下記1の各法人については、繰入限度額の計算に当たり、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の上記「実績繰入率に基づく計算(原則)」の実績繰入率に基づく計算に代えて、下記2の繰入限度額の計算によることが認められています。
1 対象となる法人
(1) 中小法人
(2) 公益法人等または協同組合等
(3) 人格のない社団等
(注) 中小法人とは上記「実績繰入率に基づく計算(原則)」※の1に掲げる法人に該当するものです。ただし、適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者については適用対象から除かれます。なお、通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。
2 繰入限度額
次の算式により計算します。
(注) 法定繰入率は下表のとおりです。
卸売業および小売業(飲食店業および料理店業を含むものとし、割賦販売小売業を除きます。)
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製造業
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金融業および保険業
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割賦販売小売業ならびに包括信用購入あっせん業および個別信用購入あっせん業
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その他
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10/1000
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8/1000
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3/1000
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7/1000
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6/1000
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(注) 13/1000から引き下げられ、令和3年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用します。
繰入限度額の割増しの特例(公益法人等または協同組合等向けの特例)
公益法人等または協同組合については、一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入限度額の計算を上記「実績繰入率に基づく計算(原則)」または「法定繰入率に基づく計算(中小法人または公益法人等もしくは協同組合等向けの特例)」のいずれかの方法で行った場合であっても、下表のとおり繰入限度額を割増しすることが認められています。
次の期間に開始する事業年度 | 令和3年4月1日から令和4年3月31日まで | 令和4年4月1日から令和5年3月31日まで | 令和5年4月1日以後 |
割増率 | 104% | 102% | (制度廃止) |
根拠法令等
法法52、66、法令96、措法57の9、措令33の7、法基通11-2-16~18・20、平31改正法附則54、令3改正措令附則16
タックスアンサーNo.5501参照
[令和5年4月1日現在法令等]