2022-09-01
経済産業省が8月31日に公表した2023年度税制改正要望によると、まず、スタートアップ・エコシステムの抜本強化のため、エンジェル税制についての必要な見直しや出口戦略を含むスタートアップ・エコシステムの抜本強化に資する税制のあり方について検討することや、ストックオプション税制(権利行使時の課税繰延べ)について、事業化まで時間を要するスタートアップ等を後押しするため、権利行使期間等の見直しを求めた。
次に、カーボンニュートラルへの対応とイノベーション促進のための取組みとして、(1)民間の研究開発投資に対し、メリハリの効いたインセンティブを提供するとともに、スタートアップとのオープンイノベーションを促進するため、研究開発税制(試験研究費の税額控除等)の見直しや、(2)デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を促進するため、DX投資促進税制(税額控除5%/3%又は特別償却30%)の見直しなどを掲げた。
さらに、車体課税等の見直しとして、環境性能に優れた自動車の更なる普及を促すため、エコカー減税等の車体課税の見直しや、カーボンニュートラル実現に積極的に貢献するものとするとともに、自動運転をはじめとする技術革新の必要性や保有から利用への変化、モビリティの多様化を受けた利用者の広がり等の自動車を取り巻く環境変化の動向等を踏まえ、受益と負担の関係も含め、自動車関係諸税のあり方についての検討などを求めた。
3番目に、中小企業・小規模事業者の設備投資・経営基盤の強化と地域経済を牽引する企業の成長促進のため、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除10%)を見直し、中小企業投資促進税制(特別償却30%又は税額控除7%)の延長を行うなど、中小企業を取り巻く厳しい環境や経営状況等を踏まえ、赤字の事業者を含め中小企業においても前向きな投資につながる税制のあり方について検討することを要望。
また、中小企業軽減税率(法人税率を所得800万円まで 19%→15%に軽減)を延長するとともに、中小企業の研究開発を支援すべく、中小企業技術基盤強化税制(試験研究費の税額控除等)の見直しや、激化する自然災害等への事前対策を強化するため、防災・減災のための設備投資を後押しする中小企業防災・減災投資促進税制(特別償却20%)の拡充、地域経済を牽引する企業の成長促進のための設備投資促進税制の強化なども盛り込んだ。
経産省の2023年度税制改正要望の概要は↓
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2023/zeisei_r/pdf/1_02.pdf