金融庁、NISAの抜本的拡充などの税制改正を要望

金融庁は、2023年度税制改正要望において、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」を促す改正要望として、少額投資非課税制度(NISA)の恒久化や非課税保有期間の無期限化、年間投資枠の拡大などの抜本的拡充や、資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入、教育資金一括贈与制度の拡充等(教育団体等への寄付、投信信託での運用等)、金融所得課税の一体化などを盛り込んだ。

NISAの抜本的拡充では、制度の恒久化とともに、非課税保有期間(現行:一般NISA5年間、つみたてNISA20年間)の無期限化、年間投資枠(同120万円、40万円)を拡大し、弾力的な積立を可能にすること、非課税限度額(同600万円、800万円)の拡大(簿価残高に限度額を設定)、長期・積立・分散投資によるつみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」の導入を求めた。

「成長投資枠」とは、安定的な資産形成を促進する観点から、非課税限度額の内枠として、(1)既に積み上げた資産(預貯金)によるキャッチアップ投資や、(2)企業の成長を応援するため、上場株式や一定の商品性を持った株式投信等への投資を可能とするもの。また、2023年で制度を終えるジュニアNISAの受け皿とするため、つみたてNISAの対象年齢(現行20歳以上、2023年以降は18歳以上)を未成年者まで拡大することを要望した。

資産形成促進に関する費用に係る法人税の税額控除の導入は、今後、企業による従業員の資産形成に関する取組みを促進していくことが重要として、その取組みを促す観点から、資産形成促進に関する費用(例えば、企業が行う金融経済教育に関する費用)の一定割合について、法人税の税額控除を導入することや、職場つみたてNISA奨励金が「賃上げ促進税制」の対象となる旨を明確化することなどを求めている。

教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、祖父母が子・孫の口座等を開設し、教育資金管理契約に基づき贈与した場合、贈与時には1500万円までは贈与税が非課税となる。契約終了時に贈与税の精算が行われ、残高及び教育資金以外の支払分は、贈与税が課税される。同制度は、贈与資金が長期に金融機関に預け入れられるため、一部を投資商品で運用することにより、その果実を教育関連団体等への寄附につなげることも期待されている。

しかしながら、現行、投資商品での運用損失や教育関連団体等への寄附等については、教育資金以外の支払分とされ、贈与税が課税されてしまうため、贈与された資金が十分に活用されていない現状がある。そこで、同非課税措置において、(1)一定の投資商品(例えば、つみたてNISA対象商品等)に係る運用損失及び(2)教育関連団体等への寄附金を、契約終了時の贈与税の課税対象から除外するなど、制度の拡充を求めている。

金融庁の2023年度税制改正要望は↓
https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220831/01.pdf