2022-09-14
2023年10月に始まるインボイス制度への事業者側の対応が進んでいない。東京商工リサーチが、国税庁の「適格請求書発行事業者の公表情報」の登録情報(2022年8月末)を基に分析したところによると、インボイス登録事業者(適格請求書発行事業者)のうち、8月末で法人(人格のない社団等を除く)の登録数は79万7205件だった。総務省「2016年経済センサス」に基づく法人数は187万7488件で、登録率は42.4%と半数に届いていない。
国税庁は消費税の納付義務のある法人や個人企業など約300万件の課税事業者のインボイス発行事業者への登録を見込んでいるが、今年8月末の登録件数は100万件に満たず、国内企業等の登録率は法人42.4%、個人企業は9.9%にとどまる。国税庁の公式サイトで法人番号による登録情報を検索すると、上場企業の一部や未上場の大手企業でも登録が確認されないケースがあり、法人でも登録申請に温度差があるようだ。
個人企業のインボイス登録事業者は19万5935件で登録率は9.9%と1割に満たない。法人と比べ32.5ポイントの差がある。個人企業には、フリーランスや課税売上高が1000万円以下の小・零細規模の事業者も多く、取引対象にインボイス登録が必要ないケースもあり、法人と比べ登録率が低いとみられる。ただ、取引継続のため登録を検討している個人企業も一定数あり、取引先でも登録が増えると登録率が上昇する可能性がある。
また、法人登録数と法人数を都道府県別で分析したところ、すでに登録した79万7205件で、登録数トップは「東京都」の12万8828件(構成比16.1%)、次いで、「大阪府」の6万6340件、「愛知県」の4万8792件、「神奈川県」の4万1434件など、大都市圏が上位を占めている。一方、登録数が少なかったのは、「鳥取県」3704件、「佐賀県」4108件、「高知県」4173件、「徳島県」4773件、「島根県」4781件などで、5000件未満は6県だった。
登録率では、最も進んでいる「富山県」が49.4%で、企業の約半数が登録を終えている。富山県庁は、「地域の税務署が説明会などを定期的に開催しているためではないか」と分析。2位は「岐阜県」の48.2%、3位は「岡山県」の47.7%、4位は「大阪府」の47.48%、5位は「東京都」の47.42%の順で、登録率は市場規模と関係ないようだ。一方、登録率の最下位は「栃木県」の35.5%で、トップの富山県より13.9%ポイント低かった。
この件については↓
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220909_01.html