2022-09-15
日本経団連はこのほど、2023年度税制改正に関する提言を発表し、企業・経済界は、本年度以降も賃金引上げのモメンタムを維持し、「成長と分配の好循環」の実現に寄与する所存であり、併せて、国内経済への波及効果も意識しつつ、「未来への投資」を積極的に推進するとして、法人税改革では、研究開発税制の拡充・維持やスタートアップ振興税制等、投資拡大に向けた税制措置、税務手続きのデジタル化などを求めた。
研究開発税制の拡充・維持では、控除率・控除上限の上乗せ措置の延長(特に、一般型の控除上限の上乗せ措置)や、OI(オープンイノベーション)型の相手方としての「スタートアップ」の要件の見直しと手続き面の更なる簡素化、ビジネスモデルの変革に即した試験研究費の範囲等の見直し(サービス開発、人文・社会科学、自社利用ソフトウェアに係る試験研究費等)などを掲げている。
スタートアップ振興税制等での要望は、ストックオプション税制の拡充(権利行使期間を現行の2~10年以内から15年程度に延長等)、オープンイノベーション促進税制(M&A時の発行済株式の取得の追加等)、スピンオフ税制の拡充(スピンオフを行う企業に持分を一部残す場合の類型への拡充等)、web3時代に対応した所要の税制措置の検討(自社で発行し保有する暗号資産に係る期末時価評価課税の見直し等)などがある。
投資拡大に向けた税制措置では、DX投資促進税制の延長及び適用要件(生産性向上の判定単位及び比較対象期間等)・対象の見直し(DX人材育成への投資を対象とすること等)、GX推進に向けた投資減税、償却資産に係る固定資産税は本来的に廃止すべきこと、長期保有土地等に係る事業用資産の買換特例を延長するとともに、買換資産の土地面積要件の緩和等拡充、都市再生促進税制の延長、などを求めている。
税務手続きのデジタル化では、国税に関するものとして、e-Tax機能の拡充や税務調査のデジタル化等、電子帳簿保存法関係について所要の対応(優良電子帳簿・スキャナ保存・電子取引の電子保存)等、所得税手続き関係の電子化に取り組むべきことを、また、地方税に関するデジタル化として、地方税関係通知のオンライン化(特に固定資産税)や申告・申請手続きのデジタル化などに取り組むべきことを要望した。
経団連の2023年度税制改正に関する提言は↓
https://www.keidanren.or.jp/policy/2022/079_honbun.pdf