7月の事業者間取引で9割超が消費税を「全て転嫁」

経済産業省では、2014年4月の消費税8%、2019年10月の消費税10%への消費税率引上げを踏まえ、転嫁状況を定期的にモニタリングするため、事業者へのアンケート調査を実施しているが、このほど、2022年7月実施の調査結果を取りまとめ公表した。消費税転嫁対策特別措置法は2021年3月末をもって失効となり、現在は経過措置規定により、同法の失効前に行われた違反行為について、取締りを行っている。

7月調査結果(有効回答数1万728事業者)によると、消費税の転嫁状況について、事業者間取引では93.7%と9割超の事業者が「全て転嫁できている」と回答、前年度比で5.1ポイント増加した。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、1.3%で、前年度比では▲0.6ポイント減少した。また、「一部転嫁できている」と答えた事業者は、3.1%だった(2021年度平均3.8%、前年度比▲0.7ポイント)。

事業者間取引において価格転嫁ができた理由(2つまで選択)は、価格転嫁できた事業者のうち、57.4%が「以前より、取引先において、消費税率引上げ分を受け入れる、という理解が定着しているため」と回答。次いで、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されているため」が30.8%、「本体価格と消費税額を分けることにより、交渉しやすくなったため」が17.3%などとなっている。

一方、転嫁ができていない理由(2つまで選択)については、転嫁できなかった事業者のうち、「自社商品等の競争が激しく価格を引上げると他社に取引を奪われるおそれがあるため」と回答した事業者が35.9%。次いで、「取引先の業界の景気が悪く、消費税率引上げ分の上乗せを受け入れる余裕がないと考えられるため」が30.8%、「自社が下請事業者であるなど、取引先との力関係で立場が弱かったため」が18.1%となった。

買い手側との転嫁についての合意では、回答した事業者361社のうち、「納得できないが、仕事を継続したいため、やむなく受け入れている」と56.0%が回答。ある意味で泣き寝入りしている割合が半数以上を占め、「納得して合意」(35.7%)を大きく上回った。取引先との協議では、回答した 348 社のうち、60.6%の事業者が「協議はなかった」と回答。次いで、「協議はあったが不十分だった」が21.6%、「協議があった」が17.8%となった。

また、取引先から受けた転嫁拒否行為(複数回答)では、実際に転嫁拒否行為を受けたと回答した186社の事業者のうち、「価格交渉時に消費税率引上げ分の全部又は一部の上乗せ拒否」と回答した事業者が41.9%で最も多く、次いで「本体価格での交渉拒否」が38.2%。なお、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合を業種別にみると、「運輸業、郵便業」が98.7%で最も高く、最も低い「サービス業」では90.5%だった。

同調査結果は↓
https://www.meti.go.jp/press/2022/09/20220930002/20220930002-1.pdf