2017-04-10
国税庁はこのほど、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律に基づき、公正な取引の基準を定め、2017年6月1日以後に酒類業者が行う酒類の取引に適用することを明らかにした。公正な取引の基準は、売上原価の額と販売費及び一般管理費の額との合計額を下回る価格で継続して酒類を販売すること、他の酒類業者に相当程度の影響を及ぼす恐れがある取引をすること、のいずれにも該当する行為で、これらの行為が禁止されることになる。
これは、酒のディスカウント店などで、総販売原価を下回る価格で販売するなど、利益を度外視した価格設定の廉価販売が小規模酒販店の経営を脅かしていることなどを背景に、過度な価格競争の防止を目的として昨年5月に議員立法で成立した改正酒税法(3月24日に公布された施行期日を定める政令により、本年6月1日施行)の規定を受け告示するもの。取引基準を守らない業者に対しては、免許の取消しもあるとみられている。
酒販業者の売上原価の額は、付随費用を含む仕入価格(または製造原価)から仕入れに係る値引き額を控除して算出する。リベートの受取りがある場合(リベートに関する基準が明確に定められており、かつ、取引の当事者間で事前に共有されているとき)は、リベートを仕入れに係る値引きとみなす。販売価格は、販売に係る値引きがある場合は、値引き額を控除して算出する。取引基準だけでは不明な部分は、通達に規定された。
例えば、「継続して販売する」とは、単に何日間という基準ではなく、相当期間にわたって繰り返し販売することをいう。毎週・毎月又は隔週・隔月で、週末の特定の日に限って、品目や銘柄を変えて販売を行うような場合であっても、繰り返し行われていれば、これを一連の行為として禁止行為の対象とする。また、「相当程度の影響を及ぼす恐れ」があるかどうかは、廉売業者の規模、廉売の態様、広告の状況等を踏まえ判断する。
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http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/kokuji/170331/pdf/01.pdf