2022-10-14
上場株式を譲渡して利益が出た場合、譲渡所得が発生し課税対象になるケースがあるが、仮に株式譲渡で発生したのが損失だった場合、他の上場株式との損益を合算して計算して、翌年以後3年間にわたって確定申告をすれば、譲渡所得等の金額及び配当所得等の金額から繰越控除し、課税価格を抑えることができる。これを損益通算というが、株式譲渡では譲渡所得と給与所得などの他の各種所得との損益通算はできないこととされている。
株式等の譲渡による所得以外の所得からの控除等については、上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、他の上場株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除し、一般株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、他の一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除するが、その控除をしてもなお控除しきれない赤字の金額は、一定の場合を除き、給与所得や事業所得など他の所得の金額から差し引くことはできない。
また、上場株式等に係る譲渡所得等と一般株式等に係る譲渡所得等との通算はできないこととされている。上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額を一般株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできないわけだ。対して、一般株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額は、「特定中小会社の発行株式に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」の場合を除き、上場株式等に係る譲渡所得等の黒字の金額から控除することはできない。
そのほか、上場株式等に係る譲渡損失(赤字)の金額と上場株式等に係る配当所得等の金額との損益通算について、上場株式等を、金融商品取引業者等を通じて譲渡したことにより生じた譲渡損失(赤字)の金額は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得等の金額(上場株式等の配当等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算することができる。
上場株式等の配当等に係る配当所得についての申告分離課税の選択及び上場株式等の譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算は、確定申告書にその旨を記載するとともに、一定の明細書等を添付することにより行う。なお、株式譲渡で生じた売却損は損益通算により、場合によってはかなりの節税につながる可能性があるので、受け取った金額をそのままにするのではなく、細かく計算していくことをお勧めしたい。