インボイス制度、9月末の法人事業者登録は約96万件

東京商工リサーチが、国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データを独自に分析調査した結果、法人の登録数は2021年10月から2022年5月までは低調な動きだったが、6月に入ると12万4568件に急増、9月は月間最多の15万4816件が登録された。インボイス制度の認知に伴い、9月末の法人の事業者登録は96万1918件に達した。総務省の「経済センサス」の法人数(187万7488件)を基に試算すると、法人の半数が登録している。

一方、9月末の個人企業の登録は24万1792件で、登録率は12.2%にとどまる。個人企業は課税売上高1000万円以下の免税事業者が多く、取引先によっては制度登録の必要がなく、登録率は法人と比べて低い傾向にある。だが、同社が実施した企業調査では、制度開始後、免税事業者とは「取引しない」と9.8%の企業が回答。対応を決めていない「未定」も46.7%あり、このまま登録しないか、取引継続のため登録するか、個人企業の悩みは深い。

2022年9月末の法人登録済みの約96万件を都道府県別にみると、登録数トップは「東京都」の15万6745件(構成比16.2%)、次いで、「大阪府」7万8524件、「愛知県」5万9799件、「神奈川県」5万713件、「埼玉県」4万3594件、「北海道」3万7913件、「福岡県」3万6579件と、大都市圏が上位を占めた。一方、登録数の最少は「鳥取県」の4197件、次いで、「高知県」4931件、「佐賀県」4944件と、この3県が5千件未満だった。

また、登録率では、「東京都」が57.6%で最も高かく、8月末は47.4%で5位だったが、9月に登録が一気に進んだ。2位は「山梨県」が57.1%(前回16位)と大幅に順位をあげた。3位は「大阪府」の56.2%(同4位)、4位は「三重県」の55.5%(同18位)、5位は「岡山県」の55.0%(同3位)の順。8月末は1位だった「富山県」は10位に順位を落としたが、登録率は52.2%と高位を維持している。登録率50%超は19都府県だった。

一方、登録率が最も低かったのは、「秋田県」の43.4%(前回順位44位)。次いで、「長崎県」44.9%(同38位)、「神奈川県」44.9%(同45位)、「佐賀県」45.0%(同40位)、「和歌山県」45.3%(同40位)と、地方が目立つ。なお、国税庁は9月26日、個人情報保護の観点から個人企業の所在地や氏名などをダウンロードデータから削除したため、個人企業の都道府県別の分析はできない。

以上のように、国税庁が登録を見込む約300万件には、まだ半数にも届かず、個人企業を中心にインボイス制度に慎重な姿勢も浮き彫りにしている。制度開始の登録には2023年3月末までの申請が必要となる。残り半年で約180万件の企業・フリーランスが登録するか判断するが、単純計算では1ヵ月に30万件の登録が集中することになる。申請が集中すると登録に時間を要するため、国税庁は早めの登録を呼びかけている。

同調査結果は↓
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221007_06.html