減価償却方法定額法一本化に係る改正通達の趣旨説明

2016年度税制改正において、定率法の選択が可能な減価償却資産のうち、建物附属設備は建物と一体的に整備され、構築物は建物と同様に長期安定的に使用されることから、これらの減価償却資産(鉱業用減価償却資産等を除く)の償却方法は、建物(同)と同様に定額法に一本化する見直しが行われた。これを受けて昨年6月、法人税基本通達を見直しているが、国税庁はこのほど、その具体的な内容や考え方を示す趣旨説明を公表した。

昨年の改正によって建物附属設備及び構築物の減価償却方法が定額法に一本化された結果、(1)2007年3月31日以前に取得した鉱業用減価償却資産等以外の建物附属設備及び構築物に対して2016年4月1日以後に資本的支出を行い、同日以後に新たな建物附属設備等を取得したものとされる原則的方法を適用した場合、その資本的支出に係る償却方法は、旧定率法となるのか、定額法になるのか疑義が生じる。

また、(2)2007年3月31日以前に取得した鉱業用減価償却資産のうち建物、建物附属設備及び構築物に対して2016年4月1日以後に資本的支出を行い、原則的方法を適用した場合も、同様の疑義が生じる。これは、2007年3月31日以前に取得した減価償却資産に資本的支出を行った場合には、取得価額の特例により、その資本的支出の金額をその減価償却資産の取得価額に加算できるという特例計算が認められているための疑義ともいえる。

この点、1998年3月31日以前に取得した鉱業用減価償却資産以外の建物に対して、2007年4月1日以後に資本的支出をした場合、資本的支出の取得価額の特例を適用し、その資本的支出の金額を取得価額とする新たな減価償却資産を取得したときは、その資本的支出に係る償却の方法は、その建物の償却方法である旧定率法ではなく、同日以後に取得した鉱業用減価償却資産以外の建物の償却方法である定額法に限られていた。

こうした取扱いを踏まえ、改正後の本通達では、上記の(1)及び(2)の場合について、改正前の通達で明らかにしていた取扱いと同様に、2016年4月1日以後に取得した建物、建物附属設備及び構築物について適用することができる償却方法に限られることを留意的に明らかにしたものであると、その趣旨を説明している。なお、連結納税制度においても、同様の通達改正を行っている。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/160628/pdf/01-03.pdf