2023-02-13
本年10月からスタートするインボイス制度では、小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置として、免税事業者がインボイス発行事業者を選択した場合の負担軽減を図るため、納税額を売上税額の2割に軽減する激変緩和措置を3年間講ずる経過措置がある。財務省は、その経過措置について、HP上に公表した「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」において詳細を解説している。
それによると、2割特例の適用対象者は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者で、具体的には、免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる者、免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で登録を受けてインボイス発行事業者となる者が対象となる。したがって、インボイス発行事業者の登録を受けていない場合には、2割特例の対象とはならない。
また、基準期間(個人:前々年、法人:前々事業年度)における課税売上高が1千万円を超える場合、資本金1千万円以上の新設法人である場合、調整対象固定資産や高額特定資産を取得して仕入税額控除を行った場合など、インボイス発行事業者の登録と関係なく事業者免税点制度の適用を受けないこととなる場合や、課税期間を1ヵ月又は3ヵ月に短縮する特例の適用を受ける場合についても、2割特例の対象とならない。
2割特例を適用できる期間は、2023年10月1日から26年9月30日までの日の属する各課税期間。そのため、免税事業者の個人事業者が23年10月1日から登録を受ける場合には、23年分(10~12月分のみ)の申告から26年分の申告までの計4回の申告が、また、免税事業者の3月決算法人が23年10月1日から登録を受ける場合には、24年3月決算分(10月~翌3月分のみ)から27年3月決算分までの計4回の申告が適用対象となる。
2割特例の適用に当たっては、簡易課税制度のような事前の届出は必要なく、消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記すれば適用を受けられ、消費税申告のたびに2割特例の適用を受けるかどうか選択できる。ただし、申告する課税期間が2割特例の適用対象となるか否かの確認が必要だ。例えば、2026年分の申告について、2024年(基準期間)の課税売上高が1千万円を超える場合には、2割特例は適用できないこととなる。
つまり、個人事業者であれば、2023年10~12月の申告から2026年分の申告までの4回分の申告において2割特例の適用が可能だが、2年前の課税売上高が1千万円を超える課税期間(年)がある場合、その課税期間は適用対象外となることに留意が必要だ。
「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/qa_futankeigen.pdf