2023-03-15
2023年度税制改正において、法人課税では、研究開発税制の見直しとともに注目されるものに、企業の成長を先導する人材の創出を後押しするための税制措置や、オープンイノベーション促進税制の見直しがある。企業の成長を先導する人材の創出を後押しするための税制措置では、(1)企業による学校教育における企業先導人材の育成、(2)企業による先導的研究開発人材の活用・育成、(3)企業によるデジタル推進人材の育成がある。
(1)の企業による学校教育における企業先導人材の育成では、大学や高等専門学校、一定の専門学校を設置する学校法人等の設立を目的とする学校法人設立準備法人に対して、設立費用として企業が支出する寄附金について、個別の審査を受けなくても全額損金算入が可能となる枠組みを設け、早期に寄附金の募集を可能とし、スピード感を持って学校経営を進めるための一助とする。
(2)の企業による先導的研究開発人材の活用・育成では、質の高い研究開発を促し、革新的なイノベーションを促進する観点から、博士号取得者や、一定の経験を有する研究人材を外部から雇用することに対し、研究開発税制におけるオープンイノベーション型の類型の一つとして優遇措置を創設する。オープンイノベーション型とは、大学やスタートアップ等と共同研究等を行う場合に、一般型よりも高い控除率が適用される制度。
具体的には、上記の人材の人件費を対象とする新たな類型をオープンイノベーション型に設け、一般の試験研究費よりも高い税額控除率(20%)と、別に計上される税額控除上限(10%)の適用を可能とする。(3)の企業によるデジタル推進人材の育成では、企業がDXを進めて行く上で不可欠なデジタル人材の育成・確保を促すため、DX投資促進税制において、人材育成・確保等に関連する事項を要件化する等の見直しを行う。
また、オープンイノベーション促進税制の見直しについては、既存企業によるスタートアップ企業のM&Aを後押しする観点から、既存株式を取得した場合にも、オープンイノベーション促進税制の適用を可能とする。その際、M&Aから5年以内に「成長要件」を満たした場合は減税メリットがその後も継続する仕組みとし、スタートアップ企業の急速な規模拡大や、成長投資の後押しを図る。