2017-05-09
2017年度税制改正において創設された「積立型」の少額投資非課税制度(NISA)は、年間投資上限額は40万円と現行NISAの3分の1だが、投資した金融商品の売却益や配当の非課税期間は20年と現行NISAの4倍に延び、資金力のない若年層でもコツコツと投資できるのが特長となっている。金融庁の公表資料によると、その積立NISAの適用対象となる投資商品は50本程度にとどまることが明らかになった。
公表資料によると、積立NISAの投資対象商品である公募株式投資信託は5406本。このうち、(1)信託設定期間が20年以上、(2)毎月分配型でないこと、(3)デリバティブでレバレッジをかけないこと、の3つの政令要件と、信託報酬(毎年の運用管理費用)が一定割合以下、販売手数料が無料(ノーロード)とする要件(内閣総理大臣が財務大臣と協議して定める要件)等の要件をクリアするのは、1%の50本程度としている。
積立NISAは、現行制度との選択制で、2018年1月から投資が開始される。積立NISAの制度設計において、家計は、長期間(非課税で保有できる期間は20年間)、保有し続けることを念頭に投資信託を選択し、毎月、少額ずつ積立方式で購入することが想定されており、投資初心者の安定的な資産形成を支援するという制度の趣旨から、対象となる投資商品の要件は、よりリスクの少ない商品に絞り込むものとなっている。
これに適しているとされるのが、コスト(手数料等)が低い上、マーケット全体の値動きに忠実に連動することから、経済成長に見合うリターンの実現が期待できるインデックス投信と呼ばれる投信である。一方、アクティブ投信と呼ばれる投信は、マーケット全体の値動き以上の超過リターンを狙うという性質上、一般的にはリスクとコスト(手数料等)が高くなりがちなため、投資初心者には不向きとみられている。
4月7日に行われた日本証券アナリスト協会の国際セミナーでの講演で、森信親金融庁長官は、積立NISAの対象として残った公募株式投信は、インデックス投信で50本弱、アクティブ投信では5本のみと説明するとともに、日本の投信運用会社の多くが、販売会社系列の投信運用会社であることから、販売会社のために、手数料獲得が優先され顧客の利益が軽視される結果、顧客の資産を増やすことができないと、指摘していた。