マンション長寿命化促進税制のよくある質問を公表

2023年度税制改正では「長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置」(マンション長寿命化促進税制)が創設された。同税制は、一定の要件を満たすマンション等において、長寿命化工事が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額されるというもの。国土交通省では、同税制についての「よくある質問(FAQ)」を同省ホームページに公表している。

それによると、賃貸マンションは対象となるかとの質問に対し、マンション長寿命化促進税制の適用対象は、分譲か賃貸かは問わないが、区分所有者が2人以上存在するマンションが対象となるため、例えば1人で1棟のマンションを所有し、各住戸を貸し出しているようなマンションは、本特例の対象外となる。しかし、分譲マンションにおいて区分所有者が住戸を貸し出している場合は、本特例の対象となる、と回答している。

オフィスや店舗はマンション長寿命化促進税制の対象となるかについては、居住用部分のみがマンション長寿命化促進税制の対象となる。したがって、居住用部分以外のオフィスや店舗は本税制の対象外となるが、住宅とオフィス等の併用住宅の場合、専有部分の2分の1以上が居住用部分である場合は、マンション長寿命化促進税制の適用対象となる。なお、別荘はマンション長寿命化促進税制の対象外となる。

要件については、(1)築後20年以上が経過している10戸以上のマンション、(2)長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施、(3)長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保、との要件があるが、これらの要件は全て満たさなければならない。「築後20年以上が経過していること」の要件は、固定資産税の賦課期日(1月1日)時点、かつ、税制適用の申告時点(工事完了後3ヵ月以内)で、満たしている必要がある。

また、工事要件では、屋根防水工事、床防水工事及び外壁塗装等工事の3つの工事を一体で実施した場合が対象となる。同時に給排水管工事や鉄部塗装等の他の工事を実施しても構わないが、屋根防水工事、床防水工事及び外壁塗装等工事の3工事を全て一体で実施する必要がある。一体については、一の工事請負契約であることや一の総会決議で工事実施が決議されているなど、3つの工事が一体として扱われる工事であることが必要となる。

なお、各区分所有者が支払うマンションの固定資産税額は、建物全体に係る固定資産税額を各区分所有者の持分割合に応じて配分して決まるものであり、共用部分も按分された価額となっている。詳細はマンション所在地を管轄する市町村等の固定資産税の窓口へ問い合わせる必要がある。また、100平方メートル相当分は、共用部分も含めた面積で算定され、複数住戸所有している場合は、1住戸あたり100平方メートル相当分が減額される。

同FAQについては↓
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001599786.pdf