職場つみたてNISA奨励金は賃上げ促進税制の給与等

国税庁はこのほど、「従業員に対して職場つみたてNISAの奨励金を給付した場合の賃上げ促進税制の取扱いについて」を公表した。これは、金融庁からの照会に対して文書回答したもの。国税庁は、照会に係る事実関係が前提なら、従業員に給付した職場つみたてNISAの奨励金は、金融庁の意見の通り、賃上げ促進税制の対象となる給与等に該当するとの回答を示している。

職場つみたてNISA(少額投資非課税制度)は、職場という身近な場を通じて、NISAを利用した資産形成ができるように事業主等が利用者を支援する、福利厚生の増進を図ることを目的とする制度。事業主が職場つみたてNISAを利用する従業員に対して福利厚生の一環として奨励金(職場つみたてNISAによる対象金融商品への投資に際し事業主が給付する金銭)を給付する場合がある。

事業主等は、奨励金を給付した場合、会計上、福利厚生費など給与等以外の科目で費用計上している場合がある。このように給与等以外の費用として経理されている場合であっても事業主等が従業員に給付する奨励金は、「賃上げ促進税制」の対象となる「給与等」に該当すると考えて良いのかという疑問が生じる。そこで、給与等以外の科目で費用計上している場合でも、賃上げ促進税制の対象となる「給与等」に該当するのかを照会したもの。

賃上げ促進税制は、企業等が給与等を支給する場合に、その企業等の継続雇用者給与等支給額から継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額のその継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が一定割合以上であること等を要件として、控除対象雇用者給与等支給増加額の一定割合を所得税額又は法人税額から控除する制度。対象となる「給与等」とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与とされている。

金融庁は、賃上げ促進税制においては「給与等」について、会計上どのような科目で費用計上するかは特に限定されていないので、事業主等が奨励金を給与等以外の費用である「福利厚生費等」として費用計上していたとしても、賃上げ促進税制の対象となる「給与等」に該当するのではとの意見を照会した。これに対し、国税庁は、照会に係る事実関係を前提とする限り、賃上げ促進税制の対象となる給与等に該当するとの考えを示した。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/230331/index.htm