雇用促進計画の受付件数が前年度比9割減と大幅減少

厚生労働省がまとめた2016年度雇用促進計画の受付件数(速報値)によると、同年度の雇用促進計画の受付件数は4014件となり、前年度2015年度の4万2961件から90.3%減の大幅減少となった。2011年度税制改正で創設された、雇用を増やす企業を減税する雇用促進税制の適用を受けるためには、事業年度開始後2ヵ月以内に、公共職業安定所(ハローワーク)等に雇用促進計画を提出する必要がある。

雇用促進計画の受付件数が大幅に減少したのは、2016年度税制改正による雇用促進税制の対象地域の限定などが要因。同年度税制改正では、適用対象となる雇用者をフルタイムの勤務者に限定し、また、対象地域を大幅に縮減した上で適用期限が2年延長された。雇用促進計画の受付件数の上位である東京都や大阪府、愛知県などは原則除外され、2017年4月1日現在では28道府県、ハローワークの管轄区域では80地域に縮減されている。

また、対象となる雇用者は、改正前であれば雇用保険の一般被保険者に該当すればパートやアルバイトも対象となったが、改正後は無期雇用かつフルタイムの雇用者で新規雇用に限定されている。この結果、税額控除額の計算は、改正前の「増加した雇用保険一般被保険者の数×40万円」から、改正後は「同意雇用開発促進地域内の事業所における新規増加の無期雇用かつフルタイムの一般被保険者の数×40万円」となっている。

「同意雇用開発促進地域」とは、最近3年間又は1年間のハローワークにおける求職者に対する求人数の割合(常用有効求人倍率)が全国平均の3分の2以下などの要件に当てはまる地域で、ハローワークの管轄区域で80地域、28道府県が該当する。その結果、2015年度まで雇用促進計画提出件数が多かった東京都(1万101件)や、大阪府(5503件)、愛知県(3998件)など上位を占めていた地域が原則対象外となってしまった。

ただし、同意雇用開発促進地域外の事業所でも雇用促進税制の適用が可能なケースもある。というのも、地方拠点強化税制における雇用促進税制は、同意雇用開発促進地域外でも適用が可能であり、地方拠点強化税制の対象地域で要件を満たせば、雇用促進税制の適用が受けられるからだ。2017年4月時点で東京都、神奈川県、沖縄県を除く44道府県に地方拠点強化税制の対象地域がある。