2023-09-12
固定資産を交換した場合の交換特例の適用について、複数の譲渡資産と複数の取得資産の交換の場合における交換差額要件の判定は、それぞれの資産の合計額に基づき行われ、交換差額が20%以下となる場合には、交換差額要件を満たすものとして取り扱って差し支えないかとの文書照会に対し、東京国税局はこのほど、照会者の見解のとおりで差し支えないと回答したことが分かった。
所得税法58条に規定する交換特例は、個人が土地・建物等の固定資産を交換した場合に、一定要件(交換により取得する資産と譲渡する資産が同種の資産、1年以上所有していたこと、交換後も同じ用途に使用等)を満たすときには、確定申告を条件として譲渡はなかったとものとみなされる譲渡所得の特例制度。ただし、要件の一つに交換差額要件があり、譲渡資産の価額と取得資産の価額との差額が20%を超える場合には特例が適用されない。
文書照会者は、照会者の兄と共有している計7ヵ所の宅地を、それぞれが単独所有とするため、交換契約により、(1)照会者が兄に対して4ヵ所の土地の共有持分を譲渡する一方、兄から3ヵ所の土地の共有持分を取得する、(2)取得土地の価額の合計額は譲渡土地の価額の合計額を上回るが、その差額について金銭その他の資産の授受は行わない、とすることを予定していた。
ただし、価額について個々の土地ごとに交換差額要件の判定をすると、組合わせによっては差額が20%を超える場合が生じてしまい課税されるおそれがあったことから事前照会したもの。照会者は、複数の譲渡資産と複数の取得資産の交換の場合の交換差額要件の判定はそれぞれの資産の合計額に基づき行われ、交換差額が各取得土地の価額の合計額の20%以下となる場合には、交換差額要件を満たすものと解していいのかを問い合わせた。
これに対し東京局は、本件交換は、本件各土地の共有状態を解消し、各土地をそれぞれが単独所有とするために、一の交換契約により各譲渡土地と各取得土地とを交換するものであることから、本件交換に係る交換差額要件の判定は、各取得土地の価額の合計額と各譲渡土地の価額の合計額との差額に基づき判定することが、交換特例の趣旨等に照らしても相当との考えを示して、照会者の見解を認めている。
この件については↓
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/joto-sanrin/230802/index.htm