免税事業者からの課税仕入れの経過措置の税額計算

インボイス制度の下では、原則、インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れについては、仕入税額控除を行うことはできないが、制度開始後6年間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置が設けられている。この経過措置を適用する場合に仕入税額とみなす金額の具体的な計算方法は、仕入税額について、「積上げ計算」を適用している場合と「割戻し計算」を適用している場合とで異なる。

まず、仕入税額について「積上げ計算」を適用している場合は、経過措置の適用を受ける場合においても「積上げ計算」により計算する必要がある。経過措置の適用を受ける課税仕入れの都度、その課税仕入れに係る支払対価の額に110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は108分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80を乗じて算出する(その金額に1円未満の端数が生じたときは、その端数を切捨て又は四捨五入する)。

なお、経過措置の適用を受ける課税仕入れを区分して管理し、課税期間の中途や期末において、その区分した課税仕入れごとに上記の計算を行うこととしても認められる。また、税抜経理を採用している場合、課税仕入れの都度、経過措置対象分の仮払消費税額等を算出し端数処理を行っていれば、その金額の合計額に100分の78を乗じて算出した金額を経過措置の適用を受けた課税仕入れに係る消費税額としても差し支えない。

次に、仕入税額について「割戻し計算」を適用している場合は、この経過措置の適用を受ける場合においても「割戻し計算」により計算する必要がある。課税期間中に行った経過措置の適用を受ける課税仕入れに係る支払対価の額の合計金額に110分の7.8(軽減税率の対象となる場合は108分の6.24)を乗じて算出した金額に100分の80を乗じて算出することになる。

ちなみに、インボイス制度開始後6年間、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置を適用できる期間に応じた割合は、2023年10月1日から2026年9月30日までの期間は、仕入税額相当額の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までの期間は、仕入税額相当額の50%となる。