2017-06-22
納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求(改正前:異議申立て)や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が20日に公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2016年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は9.4%となった。
再調査の請求の発生件数は、消費税(58.1%減の484件)を始めほとんどの税目が減少したことから、全体では前年度から47.5%減の1674件となった。処理件数は、「取下げ等」275件、「却下」208件、「棄却」1199件、「一部取消」100件、「全部取消」23件の合計1805件(前年度比43.6%減)。納税者の主張が一部でも認められたのは計123件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を1.6ポイント下回る6.8%だった。
また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、法人税等(50.9%増の504件)などほとんどの税目が増加したことから、18.6%増の2488件となった。処理件数は、「取下げ」269件、「却下」191件、「棄却」1258件、「一部取消」192件、「全部取消」49件の合計1959件(前年度比15.2%減)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同4.3ポイント増の12.3%と大きく上昇した。
一方、訴訟となった発生件数は、徴収関係(38.4%増の54件)が増えたものの、所得税(5.9%減の80件)や相続・贈与税(22.3%減の28件)などが減少したことから、前年度を0.5%下回る230件だった。終結件数は、「取下げ等」25件、「却下」20件、「棄却」189件、「国の一部敗訴」5件、「同全部敗訴」6件の合計245件(前年度比6.5%減)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同3.9ポイント減の4.5%となっている。
このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2016年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計4009件(前年度5773件)のうち375件(同476件)で、その割合は9.4%(同8.2%)と、再調査の請求や訴訟の納税者勝訴割合は減少したが、審査請求での救済割合が大きく増加したことから、前年度に比べて1.2ポイント増で推移している。
2016年度における再調査の請求の概要は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/saichosa/index.htm
同審査請求の概要は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/shinsa/index.htm
同訴訟の概要は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sosho/index.htm