広大地評価の見直し等で財産評価基本通達の改正案公表

国税庁は、「財産評価基本通達」の一部改正(案)を公表し、7月21日まで、電子政府の総合窓口e-Govにおいてパブリックコメントを募集している。今回の見直しは、昨年暮れの2017年度与党税制改正大綱に盛り込まれていた相続税等の財産評価の適正化のための広大地補正の見直しを受けての措置。この改正案には、広大地評価の見直し及び株式保有特定会社の判定基準に「新株予約権付社債」を加える見直しが盛り込まれている。

2017年度税制改正大綱においては、広大地評価について、現行の面積に比例して評価額を減額する方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、併せて、適用要件の明確化を図ることとされていた。これを受けて、今回公表された評価基本通達改正案では、新たな評価方法や適用要件の明確化の内容が示されるとともに、現行の広大地の評価(24-4)は廃止される。

具体的には、広大地の評価について「地積規模の大きな宅地の評価」(評基通20-2)が新設され、これまで広大地(面積が1000平方メートル以上(三大都市圏では500平方メートル))の相続税評価額は一律、「路線価×地積×広大地補正率」で算出していたものを、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価することとした。市街地農地等の評価における「宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額」も同様に評価するとしている。

また、地積規模の大きな宅地の判定について、地区区分や都市計画法の区域区分等を基にすることとし、適用要件を明確化する。広大地の見直しのほか、株式保有特定会社の株式の評価(評価通達189、189-3ほか) について、株式保有特定会社(保有する「株式及び出資」の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社をいう) の判定基準に「新株予約権付社債」を加えることとする。

これらの見直しについては、2018年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価から適用する予定とされており、今回の改正案では経過措置は設けられていない。