2024-05-22
個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合には、その財産の時価と支払った対価との差額相当金額は、財産を譲渡した人からの贈与での取得とみなされる。また、対価を支払わないで、または著しく低い対価で債務の免除、引受け、第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合には、利益を受けた人が、債務免除等が行われた時に債務免除等に係る債務の金額を、債務免除等をした人からの贈与での取得とみなされる。
著しく低い価額の対価かどうかは、個々の具体的事案に基づき判定する。この判定基準は、法人に対して譲渡所得の基因となる資産移転があった場合に時価で譲渡があったとみなされる「著しく低い価額の対価」の額の基準「資産の時価の2分の1に満たない金額」とは異なる。時価とは、その財産が土地や借地権などの場合や家屋や構築物などの場合には通常の取引価額に相当する金額を、それら以外の財産である場合には相続税評価額をいう。
他方で、贈与により取得したものとみなされない場合がある。それは、著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合であっても、譲り受けた人が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合で、その弁済に充てるためにその人の扶養義務者から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされないことだ。
なお、法人から債務免除等を受けた場合は、贈与税ではなく、所得税の対象となる。また、債務免除等による利益を受けた場合であっても、債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合において、債務の免除を受けたまたは債務者の扶養義務者に債務の引受けまたは弁済をしてもらったときは、その債務の弁済をすることが困難である部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされないこととされている。