2024-05-28
2024年度税制改正で交際費の取扱いが改正され、2024年4月から交際費とされない飲食費の上限額が引き上げられている。得意先等の飲食費は、参加者1人当たりの金額がこれまで5000円以下であれば、交際費等の範囲から除かれていたが、この損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準について、4月以降の支出分から、参加者1人当たり1万円以下に引き上げられた。
得意先や仕入先等の関係者と親睦を深めるための接待飲食等に要する費用は、交際費等として原則損金不算入とされるが、規定事項を記載した書類の保存を要件に損金算入適用を受けることができる。規定事項の記載した書類とは、飲食等のあった年月日や得意先等の名称及び参加者人数等が記載された領収書や帳簿だ。領収書等に詳細に記載があると会計処理をする際、交際費から除く飲食費なのか判断することができるので重要だ。
1万円以下か否かの基準判定は、経理方式により異なる。税込経理の場合は税込金額で、税抜経理の場合は税抜金額で判断することになる。税抜経理方式を採用している事業者がインボイス発行事業者でない飲食店で飲食等をした場合、原則はその支払い金額に消費税はないものとされているため、領収書に消費税額が記載されていたとしても支払総額で1万円基準判定を行うが、経過措置がある。
経過措置は、2023年10月1日から3年間と2026年10月1日から3年間は、仕入税額相当額の80%又は50%を仕入税額控除できるようになっており、1万円基準判定は支払総額から仕入税額控除できる金額を差し引いた金額で判定を行うことになる。この改正の背景には、物価上昇で飲食費が高騰して、今の水準では不十分だとする意見が強まっていたことや、飲食業界を側面支援する狙いもあった。
また、中小企業だけでなく大企業にも適用される交際費課税の特例制度についても、事業拡大や新規取引の機会を増やすことができる事業活動費として必要とされるため、3年間(2027年3月31日まで)延長された。期末資本金の額が1億円以下の中小法人は、年間に支出した交際費800万円までの金額損金算入と接待飲食費の50%の損金算入の選択適用が認められている。
中小法人以外で期末資本金の額が100億円以下の法人は、接待飲食費の50%の損金算入の適用が認められ、100億円超の法人の場合は、支出した交際費の全額が損金不算入となる。今回の改正で、中小法人以外の資本金の額が大きい企業にとってはメリットが大きい。近年物価高騰の影響もあり、1人当たり5000円を超えることが多いため、企業にとっては望ましい改正となったと思われる。