新規設立法人が消費税の納税義務を免除されない場合

消費税の課税事業者となるかどうかの判定は、基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年、事業年度が1年の場合の法人の場合はその事業年度の前々事業年度)における課税売上高で判断され、課税売上高が1000万円以上であれば課税事業者とされる。ただし、新たに設立された法人については、設立当初の2年間は判定する基準期間が存在しないことから、原則として免税事業者となる。

しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1000万円以上である新設法人や特定新規設立法人に該当する法人の場合、その基準期間のない事業年度については、納税義務は免除されないとされている。「特定新規設立法人」とは、新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超える法人をいう。

つまり、資本金1000万円未満の「新規設立法人」のうち、その事業年度開始の日に特定要件に該当し、さらに新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者及び他の者と特殊な関係にある法人のうちいずれかの判定対象者のその新規設立法人のその事業年度の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超える特定新規設立法人は、その課税期間の納税義務は免除されないこととされている。

上記の「特定要件」とは、他の者により新規設立法人の発行済株式又は出資(その新規設立法人が有する自己の株式又は出資を除く)の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により新規設立法人が支配される場合をいう。この特定要件に該当すると判定された特定新規設立法人は、事業者免税点制度は適用されず、設立1期目及び設立2期目の納税義務は免除されないわけだ。

また、新設法人や特定新規設立法人が、基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間は除く)中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合には、その調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間は納税義務が免除されず、簡易課税制度を適用して申告することもできないこととされている。