2017-08-07
国家公務員の再任用制度は、現在60歳である国家公務員の定年年齢と年金支給開始年齢の乖離により、定年退職後に公的年金が支給されず無収入期間が発生することに対応して2002年度に設けられた制度だが、国税職員の再任用後のポストが、再任用制度発足当時とは変わってきている。国税庁の再任用制度の運用が開始された当時の再任用後のポストは、税務署の調査官又は徴収官が基本だった。
ところが、指定官職だった職員の再任用の増加に対応して、最近では、短時間勤務職員用のポストとして、国税庁に派遣国税庁監察官補、国税局に厚生専門官や税理士専門官、人事専門官、税務分析専門官、実務指導専門官、国際税務専門官が、税務署に特別徴収官や特別調査官などが設けられている。指定官職以外でも、税務署の統括官から再任用後に上席となるケースも出てきている。
当初は再任用希望者の従前の勤務実績などにより再任用するかどうか判断していたが、2013年3月の閣議決定により、当面、定年退職する職員が公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢に達するまでの間、再任用を希望する者については再任用するとの方針となった。 再任用には勤務時間によりフルタイム勤務(週38時間45分)と短時間勤務(週15時間30分~31時間の範囲内の時間)の二通りがある。
総務省の一般職国家公務員在職統計表によると、国税庁の再任用職員は2016年7月1日現在2087人で、その9割近い1816人が短時間勤務職員だ。短時間職員が多いのは、定員との関係がある。フルタイム勤務職員は定員に含まれるのに対して、同じ再任用職員であっても短時間職員は定員の枠外として取り扱われる。このところ国税庁の職員は減少傾向にあるが、その分をベテランである短時間勤務の再任用職員がカバーしているわけだ。
ちなみに、2016年7月1日現在の全省庁の再任用職員は1万405人(前年比18%増)だが、国税庁の再任用職員数2087人(同19.4%増)はほぼ2割を占めて最も多い。次いで、「法務省」(1676人)、「厚生労働省」(1555人)、「国土交通省」(1341人)などが続いている。また、全省庁の再任用職員のうち短時間勤務の再任用職員は7326人となっており、ほぼ全体の7割を占めている。