輸出免税の適用を受けるには輸出取引等の証明が必要

事業者が国内で商品などを販売する場合には、原則として消費税がかかるが、販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除される。これは、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくもの。免税される輸出取引の範囲ついては、例えば、課税事業者が、(1)国内からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付けのような輸出取引等を行った場合に、消費税が免除される。

さらに、(2)国内と国外との間の通信・郵便・信書便、(3)非居住者に対する鉱業権、工業所有権、著作権、営業権等の無体財産権の譲渡や貸付け、(4)非居住者に対する役務の提供、が免除される。ただし、非居住者に対する役務の提供でも、国内に所在する資産に係る運送や保管や国内における飲食や宿泊のほか、これらに準ずるもので非居住者が国内で直接便益を享受するものは免税とされる輸出取引にはならず、消費税が課される。

上記でいう 「非居住者」とは、外国為替及び外国貿易法第6条第1項第6号に規定する非居住者をいうので、本邦内に住所又は居所を有しない自然人及び本邦内に主たる事務所を有しない法人が該当する。なお、非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上の代理権があるかどうかにかかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者とみなすこととされている。

輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要となる。輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書または輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する必要がある。例えば、(1)の国内からの輸出として行われる資産の譲渡または貸付けのような輸出取引等のうち、輸出の許可を受ける貨物の場合は、輸出許可書(税関長が証明した書類)が保存すべき証明書類となる。

同じく(1)のうち、資産価額が20万円超の郵便物として輸出する場合も、輸出許可書(税関長が証明した書類)が保存すべき証明書類となる。この輸出する場合の資産価額とは、FOB価格(本船渡し条件の価額)であり、原則としてその郵便物の現実の決済金額(例えば、輸出物品の販売金額)となる。輸出の時における資産価額が20万円を超えるかどうかの判定は、原則として郵便物1個当たりの価額による。

また、(1)のうち、資産価額が20万円以下の小包郵便物またはEMS郵便物の郵便物として輸出する場合は、日本郵便から交付を受けたその郵便物の引受けを証する書類および発送伝票等の控えが、資産価額が20万円以下の通常郵便物として輸出する場合は、日本郵便から交付を受けた郵便物の引受けを証する書類(品名並びに品名ごとの数量及び価額を追記したもの)が、それぞれ保存すべき証明書類となる。

なお、輸出取引は消費税が免除されるが、それに対応する課税仕入れには消費税および地方消費税の額が含まれている。この課税仕入れの金額には、商品などの棚卸資産の購入代金のほか、その輸出取引を行うのに必要な事務用品の購入や交際費、広告宣伝費などの経費なども含まれる。そのため、輸出の場合には、課税仕入れに含まれる消費税および地方消費税の額は申告の際に仕入税額の控除をすることができる。