2024-08-29
農業を営んでいる人が、農業の用に供している農地の全部ならびに採草放牧地および準農地の一定部分をその農業を引き継ぐ推定相続人の1人に贈与した場合には、その贈与を受けた人(「受贈者」)に課税される贈与税については、その贈与を受けた農地等について受贈者が農業を営んでいる限り、その納税が猶予される(猶予される贈与税額を「農地等納税猶予税額」という)。
この農地等納税猶予税額は、受贈者・贈与者のいずれかが死亡した場合には、その納税が免除される。ただし、贈与者の死亡により納税猶予税額の納税が免除された場合には、特例の適用を受けて納税猶予の対象になっていた「特例農地等」は、贈与者から相続したものとみなされて相続税の課税対象となる。その際に、一定の要件を満たす場合には、その特例農地等について「農地等についての相続税の納税猶予及び免除等」の適用が受けられる。
この相続税の納税猶予等は、農業を営んでいた被相続人や特定貸付け等を行っていた被相続人から一定の相続人が一定の農地等を相続や遺贈によって取得し、農業を営む場合や特定貸付け等を行う場合には、一定の要件の下にその取得した農地等の価額のうち農業投資価格による価額を超える部分に対応する相続税額は、取得した農地等について相続人が農業の継続や特定貸付け等を行っている場合に限り、その納税が猶予されるというもの。
猶予される相続税額を「農地等納税猶予税額」というが、この猶予税額は、特例の適用を受けた農業相続人が死亡した場合等に免除される。なお、上記の「特定貸付け等」とは、農地中間管理事業の推進法、都市農地の貸借の円滑化法律または特定農地貸付けに関する農地法等の特例法などの規定による一定の貸付けをいう。また、相続時精算課税に係る贈与によって取得した農地等は、この特例の適用を受けることはできないので留意が必要だ。