2024-08-30
印紙税は、文書の種類ごとに、記載された契約金額、手形金額、券面金額、配当金額、受取金額などの金額に応じて定められており、例えば、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書などの1号文書は、記載された契約金額が1万円未満は非課税だが、「1万円以上10万円以下」の400円から「50億円を超えるもの」の60万円まで11区分されている(契約金額の記載がないものは200円)。
そこで、記載された金額が印紙税額を左右するわけだが、特に消費税は10%だけにポイントとなる。消費税の課税事業者が消費税および地方消費税の課税対象取引に当たって課税文書を作成する場合に、消費税額等が区分記載されているときまたは、税込価格および税抜価格が記載されていることにより、その取引に当たって課されるべき消費税額等が明らかとなる場合には、その消費税額等は印紙税の記載金額に含めないこととされている。
例えば、広告の請負契約書に「請負金額1100万円うち消費税額等100万円」と記載したとした場合、消費税額等100万円は記載金額に含めないので、記載金額1000万円の第2号文書となり、印紙税額は1万円となる。また、「請負金額1100万円 税抜価格1000万円」と税込価格および税抜価格の両方を具体的に記載している場合についても、消費税額等が容易に計算できることから、記載金額は1000万円となる。
しかし、消費税額等について「うち消費税額等100万円」ではなく、「消費税額等10パーセントを含む」や「請負金額1100万円(税込)」と記載した場合には、消費税額等が必ずしも明らかであるとは言えないので、記載金額は1100万円として取り扱われ、第2号文書の場合、印紙税額は2万円となる。このように、消費税額等が明らかとなる場合と比べ、印紙税額が1万円多くなるのだから、消費税額の記載には注意が必要となる。
また、売上代金の領収書に、「商品販売代金4万8000円、消費税額等4800円、合計5万2800円」と記載した場合、消費税額等の4800円は記載金額に含めず、記載金額4万8000円の第17号の1文書となり、5万円未満の領収書は非課税文書となる。なお、この取扱いの適用がある課税文書は、(1)第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)、(2)第2号文書(請負に関する契約書)、(3)第17号文書(金銭または有価証券の受取書)に限られる。