厚労省、医療提供体制の確保に適用期限の延長を要望

厚生労働省は、2025年度税制改正要望において、医療提供体制の確保のため、(1)医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度、(2)地域医療構想の実現のための病床再編等の促進に向けた特別償却制度、(3)高額な医療用機器(取得価格500万円以上)に係る特別償却制度について、適用期限を2年延長することを求めた。(3)は、全身用CT・MRIについては引き続き配置効率化等を促す仕組みを講じる。

(1)は2018年度に創設された制度で、対象設備は、医師等勤務時間短縮計画に基づき取得した器具・備品(医療用機器を含む)、ソフトウェアのうち一定の規模(30万円以上)のもの。特別償却割合は、取得価格の5%。(2)も2018年度に創設された制度で、対象設備は、地域医療構想調整会議において合意された医療機関の具体的対応方針に基づき、病床の再編等のために取得又は建設をした病院用又は診療所用の建物及びその附属設備。

(2)の特別償却割合は、取得価格の8%。(3)は1979年度に創設された制度で、対象機器は、高度な医療の提供に資するもの又は医薬品医療機器等法の指定を受けてから2年以内の医療機器。特別償却割合は取得価格の12%。また、医療・介護DXの推進に向け、医療介護のデータ利活用の方針及び基盤整備、システム開発・運用主体のあり方等について、社会保障審議会等での検討結果等を踏まえて、税制上の所要の措置を講ずることを要望。

現在、医療・介護DX推進に向けて、「全国医療情報プラットフォーム」の構築及び当該プラットフォームで共有される情報を新しい医療技術の開発や創薬等のために二次利用する環境の整備や、医療介護の公的データベースのデータ利活用の促進、医療・介護DXを推進するための体制整備(社会保険診療報酬支払基金の改組)について、検討を行っている状況にある。

そのほか、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制することを目的として、たばこ税及び地方たばこ税の税率の引上げを要望。喫煙による健康被害は科学的に明らかとなっており、喫煙率の減少は健康被害を確実に減少させる最善の解決策。健康日本21(第三次)においては喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)を目標とし、喫煙率を12%(2032年度)とする目標を掲げているが、2022年度の喫煙率は14.8%となっている。

喫煙率の減少に向けては、これまで、喫煙による健康被害の普及啓発や禁煙支援等を実施してきたが、一層の取組みが必要。たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても、価格や課税に関する措置がたばこの消費を減少させることの効果的及び重要な手段とされているが、日本におけるたばこ1箱あたりの販売価格や税額は、諸外国と比較して低い。また、2018年度税制改正によるたばこ税の段階的見直しは、2022年10月で完了している。

厚労省の2025年度税制改正要望の概要は↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001296189.pdf