新経連、「税と成長の好循環」実現に税制面の支援を!

新経済連盟(新経連)は13日、2025年度税制改正提言を発表した。税制全般に対する基本的な考え方として、税率を引き下げて日本経済活性化を促し、税収を増やして再び国内投資を活性化する、この「税と成長の好循環」を実現する3つの柱を掲げた。その1は、「国内投資の促進」。国内外から日本への投資を呼び込んで経済を活性化するほか、AIや暗号資産など、新たな産業の構築を促すために税制面から支援する。

その2は「人への投資」。賃上げ促進税制を強化しつつ労働市場の流動性を高めるほか、国内外の高度な人材を確保する。柱のその3は「スタートアップ支援・生産性向上」で、研究開発・スタートアップの促進、DX化等を通じ、イノベーションの促進と経済全体の生産性の底上げを図る。新経連は、これらの成長を促す3つの柱それぞれについて、税制改正を提言している。

具体的には、まず法人税・所得税・相続税の税率引下げを求めた。現状でも高い法人税率とさらなる税率の引上げは、企業の投資や賃上げの原資を減らしてしまう。法人課税と個人の配当所得課税は二重課税であることから、見直しを行うべきこと。現在55%の所得税の最高税率(地方税率を含む)を40%程度まで引下げや、リスクマネーの供給を大きく阻害し株価等にも大きな影響を及ぼす金融所得課税の強化に反対の意を示した。

また、相続税の引下げや、法人税の実効税率(現在29.74%)を20%程度まで引き下げること、特に、海外で得た所得を国内に還流し、国内投資促進と賃上げを図る観点から、海外子会社等からの配当所得等に係る税率を引き下げることを要望。法人課税と個人の配当所得課税の見直し(両者を調整するインピュテーション方式の導入等)を求めた。

そのほか、ふるさと納税制度は、地方自治体が自ら財源を集め、地域振興を図るための重要な手段であり、制度に対する過度の制限には強く反対している。企業版ふるさと納税制度についても、地方自治体と民間企業が連携して地域振興(二地域居住の推進等)を図る上で重要であり、制度の期限延長又は恒久化と同時に、より使いやすくする制度の見直しを行うことを要望した。

また、AIの開発強化・利活用促進に向けた税制の創設を要望。生成AI技術をはじめとして、各国ではAIの開発・利活用が急速に進展。現在の群雄割拠を好機と捉えて、AI分野で日本が強みを発揮するための集中支援を早急に実施すべきだとして、AI開発に必要な計算資源の確保や高品質なデータの整備のほか、AI利活用促進に向けたインフラ・通信基盤の強化・人材育成等を進めるため、税制面からも支援していくことが必要だとした。

新経済連盟の2025年税制改正提言は↓
https://jane.or.jp/app/wp-content/uploads/2024/09/zeisei2024-1.pdf