経団連、令和7年度税制改正に関する提言を公表

経団連は、10月3日に「令和7年度税制改正に関する提言」を公表している。提言には、「日本経済を成長型の新たなステージへ」とのテーマが付されており、これは過去最高水準の設備投資、30年ぶりの高水準の賃金引上げなど、歴史的な転換点を迎える中、デフレから完全に脱却し、日本経済を成長型の新たなステージに移行させることが重要であることを示している。
 
提言では、「成長と分配の好循環」を実現していくことが重要であり、実現に向けた取組として、企業の持続的な成長、分厚い中間層の形成、グローバルな競争力の三点を挙げている。また、中長期的な視点から、少子高齢化・人口減少等や資源不足といったわが国の制約条件の克服に向け、全世代型社会保障の構築に向けた税・ 社会保障の一体改革、GXの推進に向けた税制などについても検討を進めるべきであるとしている。
 
1 企業の持続的な成長を支える税制
まず、これまでの成長志向の法人税改革を振り返り、続いて国内投資の拡大・研究開発推進や賃金引上げを後押しする法人課税のあり方について言及している。次に法人税制等の諸課題については、企業価値向上に向けた組織再編による事業ポートフォリオの見直しとしてパーシャルスピンオフ税制の本則化のほか、インセンティブ報酬の活用拡大では「業績連動給与」の対象の拡大を挙げている。また、リース会計基準改正への対応では、企業の実務上、税務と会計の取扱いに差異が生じることがないよう、法人税等において必要な対応を行うべきであるとしている。
 
2 分厚い中間層の形成に向けた税制
働き方やライフスタイルの多様化に即した年金税制を構築する必要があり、企業型確定拠出年金の拠出限度額の引上げなどを挙げている。また、社会保障制度の持続可能性の確保に向け、税・社会保障一体での改革の推進が必要であること、財源については公正・公平の観点から、年齢にかかわらず負担能力に応じた負担(応能負担)を徹底すべきとし、税も含めた様々な財源の組み合わせによるバランスの取れた負担のあり方を検討していくべきであるとしている。
 
3 企業のグローバル活動を下支えする税制【グローバルな競争力】
経済のデジタル化に伴う課税上の課題への解決策「第1の柱(市場国への新たな課税権の配分)」、「第2の柱(グローバル・ミニマム課税)」に係る国際合意及び国内法制化と円滑な実施等が必要であるとし、外国子会社合算税制(CFC税制)も見直しを示している。
 
(参考)「令和7年度税制改正に関する提言」

https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/067.html