セルフメディケーション税制、一度適用後の「変更」はできず

国税庁は、7月14日付で公表した「『租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて』の一部改正について」(法令解釈通達)の中で、今年1月からスタートしている新医療費控除であるセルフメディケーション税制について、一度適用した後での「変更」はできない旨を明らかにした。セルフメディケーション税制は、現行の医療費控除との選択制なので、慎重な選択適用が求められることになる。

改正通達では、セルフメディケーション税制を選択して確定申告した場合、その後に更正の請求や修正申告するときも、最初に選択したセルフメディケーション税制を適用することや、同税制ではなく医療費控除を選択した場合も同様であることに、留意する旨が示されている。セルフメディケーション税制の適用後に、やはり医療費控除のほうが“お得”だからと更正の請求をしようとしても、変更はできないので注意が必要だ。

セルフメディケーション税制は、健康の維持増進や疾病予防に向けて一定の取組みをしている個人が「スイッチOTC医薬品」を購入した場合に、従来の医療費控除との選択により所得税や住民税の控除が受けられる制度。具体的には、その年中に支払った対象医薬品の総額が1万2000円を超えた場合、その超える部分の金額(8万8000円まで)が控除できる。2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間の時限措置。

上記の「一定の取組み」とは、(1)特定健康診査、(2)予防接種、(3)定期健康診断、(4)健康診査、(5)がん検診、などの検診等又は予防接種(医師の関与があるものに限る)をいう。また、「スイッチOTC薬」とは、これまで医師の処方箋が必要だった医療用医薬品を、街の薬局で処方箋なしで買えるようにしたもの。OTCは「Over The Counter」の略で、薬局のカウンターで買える薬、つまり市販薬のことを指す。