日商、「新たな経済対策に関する要望」を公表

日本商工会議所は、現在、総理の指示のもと、「経済対策」に関する議論が進んでいることを踏まえ、中小企業の生産性向上を後押しする施策の充実に向け、十分な規模の確保を求めることなどを内容とした「新たな経済対策に関する要望」を公表した。
 
まず、わが国経済の現状については、企業の旺盛な設備投資などにより、停滞から成長への転換点を迎えており、この好機にデフレマインドを完全に払拭し、自己変革によりイノベーションに果敢に挑戦し、持続的な「成長型経済」を実現することが急務である。また、成長型経済の実現にあたっては、経済の基礎体力である「潜在成長率の底上げ」が不可欠であり、継続的に投資と賃上げを進めていくためには、官民挙げて、設備投資の増加、労働力の確保、技術革新や省力化投資による生産性向上に取組むことが重要であるとしている。
 
そのための取組として、中小企業に関しては「持続的な成長を実現するための中小企業の稼ぐ力の強化」を挙げている。具体的には、中小企業が賃金を持続的に引き上げていくことが可能となる原資を確保するため、中小企業の稼ぐ力を強化する必要があり、サプライチェーン全体での価格転嫁を商習慣化するための取組、中小企業のイノベーションによる成長・生産性向上・賃上げに向けた取組に加え、イノベーションを支える「稼ぐ力の種」となる知的財産の創造・活用・保護の促進が必要であるとしている。
 
続いて、中小企業が自己変革に挑むためには、事業承継をはじめ企業を取り巻く環境を整備する必要があることから、円滑な事業承継の促進、経営改善・事業再構築・再生・再チャレンジのための体制整備、人手不足下における新たな成長モデルへの変革への取組を挙げている。
 
中小企業が直面する賃上げ、事業承継などの課題に対応し、企業として持続的に成長していくためには、政府などによる支援策を有効に活用し、イノベーションや効率化を進めることが不可欠である。中小企業は、税制や各種支援制度を利用して、企業の稼ぐ力を強化することで賃上げの原資を確保し、自己変革に挑むための環境が整うことにより、我が国経済の活性化に貢献できると考える。
 
(参考)日本商工会議所「新たな経済対策に関する要望」

https://www.jcci.or.jp/20241112_honbun.pdf