監査以外の定款による1ヵ月延長法人を通達に新設

2017年度税制改正において、法人税の確定申告書の提出期限について、会計監査人を置いている場合などを要件に最大「6ヵ月」まで延長できるなど、確定申告書の提出期限の特例が見直されたが、これを受けて法人税基本通達が改正された。その中で、会計監査人を置かない中小法人についても、定款の定めにより1月間の提出期限の延長を受けることができる取扱いが新設されたので留意したい。

改正通達の新設項目(基通17-1-4の2)では、定款の定めにより1月間の提出期限の延長を受けることができる法人として、例えば、(1)定時株主総会の招集時期を事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日以後である旨の定めをしている法人、(2)定時株主総会の招集時期を事業年度終了の日の翌日から3月以内である旨の定めをしている法人、のような定款の定めをしている法人が該当することを明らかにしている。

上記の定款の定めは例示なので、定款の内容は他の表現でも構わない。確定申告書は、原則、事業年度終了後2ヵ月以内に提出しなければならないが、改正前も特例として、会計監査人の監査を受けなければならないこと「その他これに類する理由」により決算が確定しない場合には、申告期限を事業年度終了後3ヵ月まで延長できたことから、特別の事情がある場合には、「1ヵ月」まで税務署長が指定する期間延長ができた。

つまり、旧通達(基通17-1-4)では、「その他これに類する理由」により決算が当該事業年度終了する日から2月以内に確定しない法人の一つとして、「会計監査人の監査を必要としないが、定款において事業年度終了の日から3月以内に株主総会を開催する旨を定めている法人」を挙げていたので、改正後も実質は変わらないことになる。ただし、定款の表記は改正後のほうが多様なものとなろう。

したがって、仮に定款において定時株主総会の召集時期が「2ヵ月以内」としている場合は、定款を「3ヵ月以内」と変更すれば「申告期限の延長の特例」は申請できる。注意が必要なのは、申告期限の延長を行っても、納付期限は延長できないこと。納付の期限は2ヵ月のままである。納付期限が過ぎてしまうと利子税がかかってしまうので、申告を終わらせる前に、納付するべき税金を概算して「見込納付(仮納付)」しておく必要がある。