2024-12-06
会計検査院は、令和5年度の会計検査において、出国時に免税対象物品を所持していない外国人旅行者への消費税賦課が適切に行われていない事態を指摘し、財務省に改善処置を求めた。
同院の報告によると、免税対象物品を購入した外国人旅行者が出国時に免税対象物品を所持していないことが税関で確認されたにもかかわらず、消費税が課税されないまま放置されている事例が発生しており、その課税漏れは約3億4千万円と試算される。
消費税法第4条は、国内の事業者が行う資産の譲渡に消費税を課すとしているが、同法第8条1項では、短期滞在の外国人旅行者が国内の輸出物品販売場で購入した一般物品や消耗品などについては、所定の手続きが完了している場合、消費税を免除することとしている。
一方で、同法第8条3項では、免税対象物品を国外に持ち出さないときには、税関において消費税を直ちに徴収するとされている。そのため、税関では、外国人旅行客が出国する際にパスポート情報をシステムで読み取り、免税対象物品を所持しているかを確認する手続きが定められている。所持していない場合は、その場で口頭による賦課決定を行うこととなっている。
しかしながら、会計検査院の検査では、外国人旅行者が搭乗手続きの終了時間間際に現れ、対応時間が不足したことを理由に賦課決定が行われていなかった事例や、税関に設置されたパスポートリーダーが十分に活用されていない状況も明らかになった。
指摘を受けた財務省は、パスポートリーダーの有効活用に向けた体制整備、実施要領の一部改正、税関職員に対する周知徹底を図るなど改善策を講じている。
訪日外国人旅行者によるインバウンド消費は、観光業をはじめ、幅広い分野で経済効果をもたらすと期待される。一方で、税金面においては適切な徴収の徹底が公平な税負担の実現と国の財政基盤の維持につながるため、関係機関の迅速かつ適切な対応が求められる。
(参考)本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary05/pdf/fy05_06_zumi.pdf