租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(令和6年度)

総務省は11月22日、租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(令和6年度)を公表した。
 
租税特別措置等は、税負担の公平の原則の例外であり、その適用の実態や効果が透明で分かりやすいものでなくてはならないことから、各行政機関は、措置の必要性や有効性等について国民への説明責任を果たしていくため、法令に基づき、政策評価を実施することが義務付けられている。
 
総務省行政評価局では、評価の質を向上させ、税制改正作業での活用に資するよう、毎年度、各行政機関が税制改正要望に際し行う「租税特別措置等に係る政策評価」の点検を実施しており、今般、令和7年度税制改正要望に係る政策評価のうち、点検対象とした31件について点検結果を取りまとめ、各行政機関及び税制当局に通知・公表を行った。
 
点検対象とした31件の内訳は、内閣府7件、金融庁1件、厚生労働省6件、農林水産省1件、経済産業省10件、国土交通省5件、環境省1件である。
なお、租税特別措置等に係る政策評価の義務付け対象は、法人税(国税)、法人住民税・法人事業税(地方税)関係の措置のうち、税負担を軽減・繰延べするものとなっている。
 
点検結果について、「過去の効果」や「将来の効果」を中心に、分析・説明の程度に不十分なものが一定数みられた。
適切な達成目標が設定されておらず、効果の説明も不十分な例として、経済産業省から提出された「中小企業者等の法人税率の特例の延長(法人税、法人事業税及び法人住民税)」が挙げられた。
 
この措置は、達成目標を「中小企業を取り巻く事業環境の先行きが不透明な中、厳しい経営環境の下で経営を行っている中小企業を後押しするため、軽減税率引き下げを含めた中小企業政策を一体的に展開することにより、中小企業の経営基盤を強化し、その成長力を高め、地域経済の活性化を図り、日本経済の自立的な経済成長に貢献する。」とし、測定指標は、「延長後の適用期限において、中小企業を取り巻く業況、資金繰り状況、売上高の状況が、本措置導入以前と比較しても同等程度の水準に持続的に回復しているかどうか。」とし、達成目標の実現状況について「業況、資金繰り状況については、本措置導入以前と比較して同等程度の水準に回復しているが、売上高の状況は未だ達成できていないため、引き続き本制度が必要。」としていたが、点検結果として、「達成目標が他の要因の影響を受けやすいなど適切に設定されておらず、また、将来の効果(達成目標の実現状況)も予測されていないため、本特例措置が達成目標の実現に有効な手段であるのか明らかにされていない。」と指摘され、併せて評価を適切に行うためには達成目標を定量的に設定し、事後的に検証可能なものとすることが必要と指摘された。
 
(参考)租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(令和6年度)

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_241122000177979.html