2024-12-16
令和6年11月27日、国税庁はそのホームページ上で「質疑応答事例」の更新を報じた。この質疑応答事例は、国税当局において納税者からの照会に対して回答した事例等のうち、他の納税者の参考となるものを掲載しているもので、今回27事例(所得税2例、源泉所得税1例、譲渡所得2例、相続税4例、財産評価1例、法人税12例、消費税2例、印紙税3例)を追加している。
主な追加点に次のようなものが挙げられる。
・(所得税)入院時に病院へ支払った保証金
・(譲渡所得)相続取得した共有名義の家屋を取り壊して敷地を譲渡した場合の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除
・(相続税)相続時精算課税制度選択した後の贈与税の期限後申告をする場合の相続時精算課税の適用の可否
・(相続税)特定贈与者が贈与をした年の中途に死亡した場合の相続税及び贈与税の課税価格に加算等される贈与財産の価額(令和6年以降に2人以上の特定贈与者からの贈与がある場合)、なお他2例も相続時精算課税に係る質疑
・(法人税)適格合併の行った場合の青色欠損金の引継ぎ(合併法人の白色申告事業年度において生じた欠損金額とみなされた場合)、なお他に5例組織再編に関する質疑
・(消費税)外国法人が設立3期目に国内事業を開始した場合の消法12条の2①(新設法人の納税義務の免除の特例)の適用の可否 など
各質疑応答の内容は下記URLから内容を確認して頂く必要があるが、公表された質疑応答の傾向として、相続税の質疑応答4例が全て相続時精算課税制度の関るものであることや、法人税の質疑応答のうち5例が組織再編に係るものであることに注目したい。
令和5年度の税制改正で、暦年課税における相続前贈与の加算期間が延長されることになり、他方相続時精算課税制度について基礎控除額110万円が控除されるようになったことで、相続時精算課税制度の適用者が増加するであろうことへの対応や、法人の後継者不足による組織再編の増加等を見越しての対応等が配慮されたものと推察される。
税制が現在の要点と捉えているポイントの確認にもなるため、例えこの質疑応答事例に該当する取引等を行っていなかったとしても、参考として同資料の閲覧は有効となろう。
(参考)国税庁HP 質疑応答事例の「新規掲載事例一覧」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shinki.htm