令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要

国税庁は11月28日、「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表した。
令和5事務年度については、実地調査件数は減少しているものの、法人税、消費税、源泉所得税の三税を併せた追徴税額は3,572億円(対前年比100.3%)となり、2010年度以降で最も多くなっている。簡易な接触は、法人税・消費税、源泉所得税のいずれにおいても接触件数、追徴税額が増加し、法人税・消費税の申告漏れ所得金額は92億円(同117.9%)と過去最高になっている。
 
法人税・消費税調査については、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人に実地調査を行い、実地調査件数は前年から3千件減少し59千件となり、申告漏れ所得金額は9,741億円、追徴税額は3,197億円、調査1件当たりの追徴税額は5,497千円となっている。源泉所得税調査については、実地調査件数は前年から3千件減少し69千件となり、追徴税額は375億円、調査1件当たりの追徴税額は547千円と増加している。
 
また、主要な取組として、消費税還付申告法人、海外取引法人等に対する取組などが挙げられている。消費税還付申告法人については、不正還付は悪質性が高い行為であることから、特に厳正な調査が実施されており、追徴税額は390億円、うち不正還付に係る追徴税額は81億円となっている。
海外取引同法人等については、増加する輸出入取引や海外投資を行う法人について、課税上の問題点を幅広く把握し、厳正な調査が実施されており、実地調査件数、海外取引等に係る非違があった件数はいずれも前年を上回り、海外取引等に係る申告漏れ所得金額は2,870億円(同127.0%)と大幅に増加している。
 
なお、国税庁は「税務行政の将来像 2023」において公表しているとおり、AI・データ分析を活用し、収集した様々なデータを統計分析・機械学習等の手法により分析することで、申告漏れの可能性が高い納税者等を判定し、調査必要度の高い納税者には深度ある調査を行う取組を進めている。税務署が所管する法人に対する法人税・消費税調査において、この取組により申告漏れの可能性が高いと判定した法人を調査したところ、追徴税額は1,665億円(同113.1%)となり、税務署が所管する法人に対する追徴税額の78.9%を占めている。
 
(参考)「令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/hojin_chosa/index.htm