「認定医療法人制度」の措置期間をさらに3年延長

厚生労働省は11月28日、持分ありから持分なし医療法人への移行促進策の一環である相続税・贈与税の優遇を受けられる「認定医療法人」制度について、令和8年12月31日までの措置とされていた現状の制度を「さらに3年間延長」(令和11年12月31日)する案を示し、社会保障審議会医療部会で了承された。
 
医療法人の非営利性の徹底を主眼とした平成18年の医療法改正により、平成19年度以降は持分あり医療法人の新規設立はできないこととなったが、平成26年の医療法改正により「認定医療法人制度」が創設(平成26年10月1日施行)され、持分あり医療法人が持分なし医療法人に移行する計画を作成し、その計画が妥当である場合は、厚生労働大臣の認定を受けるとともに、税制上の優遇を受けることができることとなった(出資者の相続人への相続税及び出資者間の贈与税の非課税措置の優遇措置の導入)。
(「認定医療法人」の申請等については、厚生労働省「持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について」に手続きの詳細が掲載されている)
 
平成29年10月からは、出資者の持分放棄に伴い医療法人へ課されるみなし贈与税の非課税措置も導入されたこと等により、「認定医療法人制度」の活用件数は増加してきており、持分なし医療法人への移行には欠かせない制度となっている(平成30年度から令和5年度に持分ありから持分なしへ移行した1,184法人のうち887法人(75%)が認定医療法人制度を活用)。
 
厚生労働省では、「持分なしへの移行は着実に進んでいるものの、現状でも多くの持分あり医療法人が存在することから、さらに移行を促進する必要がある。」として、現状の認定医療法人制度を「さらに3年延長」(令和11年12月31日)することとし、税制の優遇措置の延長については、令和8年度税制改正要望事項とする予定とした。
また、昨今の一般社団法人による医療機関の開設事例の増加について、医療法では医療機関の開設者は営利を目的としてはならないこととされており、非営利性の観点で疑義が生じている状況にあるとし、一般社団法人立の医療機関の非営利性について、医療法人と同程度の確認が可能となるよう開設時などにおいて新たに各種事項の届出を求めることや、非営利性の確認のポイントを示すことについて検討することとしてはどうかという点についても審議が行われた。
 
(参考)第113回社会保障審議会医療部会 資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_46216.html

 

(参考)持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について(認定医療法人)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000205627.html