2025-01-16
日本税理士会連合会は7月2日、税制審議会に「附帯税、中でも加算税のあり方について、現行の制度や運用上の問題点を検証するとともに、実地調査率が低下している現状を踏まえて、今後の見直しに関する論点や方向性についての検討」を趣旨とする「附帯税のあり方について」を諮問していたが、これに対して税制審議会は12月17日に答申した。
答申では、附帯税の問題と制度のあり方として、「国税通則法を根拠とする附帯税の問題点とあり方」、「国税通則法以外の法律を根拠とする附帯税の問題点とあり方」、「附帯税の賦課手続の論点」の3点から検討が行われている。
まず、「国税通則法を根拠とする附帯税の問題点とあり方」については、加重措置、簡素化及び不確定概念の3つの論点から検討されている。
次に「国税通則法以外の法律を根拠とする附帯税の問題点とあり方」については、国外送金等調書法や電子帳簿保存法における加算税の軽減・加重措置(インセンティブ措置)について検討されている。
「附帯税の賦課手続の論点」では、税務調査及び手続規定の整備の2つの論点から検討され、加算税の賦課要件の明確化、重加算税の賦課要件への形式基準の採用、質問応答記録書の根拠を国税通則法に規定することなどを挙げている。
まとめとして、附帯税制度については、これまでも納税義務を適正に履行した者との公平を図りつつ、租税秩序の維持に一定程度の役割を果たしてきたと考えられ、近時の改正では、不正に税負担を逃れようとする納税者に対応するために加算税の強化が行われたが、その方向性は妥当であると評価している。ただし、不公平を是正するために、個別の事例ごとに改正を繰り返してきたことで、加算税制度が複雑化したことは否めないとし、また、現行の加算税の賦課要件に多くの不確定概念が用いられているとしている。特に、重加算税の賦課要件である隠蔽又は仮装については抽象的であるため、実務上問題視されることが多く、このような問題に対しては、
1 税に対する公平感を大きく損なうような行為であることがある程度形式的に認識できる事例については、事例ごとに過少申告加算税等の加重措置を設けるのではなく、重加算税の対象とすべきである
2 加算税の賦課要件の明確化を図るため、不確定概念に関する規定の解釈について可能な限り判断基準や判断事例を明示する
3 立法措置として、重加算税の賦課要件に形式基準を設ける
4 国外送金等調書法等における加算税の軽減・加重措置は廃止する
ことなどを提言している。
(参考)税制審議会が答申~附帯税のあり方について