2025-01-29
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長措置について、(1)背景、(2)内容、(3)注意点は以下の通りである。
(1)背景
同制度については、教育資金一括贈与の非課税措置と併せて、令和5年度の税制改正で「制度のあり方について、制度の廃止も含め、改めて検討する。」とされていたが、「こども未来戦略」の集中取組期間(令和8年度まで)の最中にあり、こども・子育て政策を総動員する時期にあるなどの主旨により、適用期限を延長することとなった。
(2)内容
令和7年3月末までとされていた直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限を2年延長する。
(3)注意点
現状では同制度の利用者が少ないとされているが、制度の内容があまり周知されていないことがその要因ともいわれているため、ここで整理しておきたい。
・18歳以上50歳未満の受贈者(前年の合計所得金額が1,000万円以下)が結婚・子育て資金に充てるため、直系尊属から金融機関等との一定の契約により受ける贈与について適用
・挙式費用や新居の費用などの結婚資金、健診・出産・保育料などの子育て資金が対象で、非課税となる上限は1,000万円(うち結婚資金は300万円が上限)
・暦年贈与・相続時精算課税制度との併用可
・贈与者の死亡時点で残高がある場合、相続税の課税対象(受贈者が孫等の場合には2割加算の対象)
・受贈者が50歳に達した場合、残額について贈与課税
・受贈者が死亡した場合、受贈者に課税はないが残額は受贈者の相続財産
・結婚資金で非課税の対象となるのは、挙式費用や婚礼衣装等のほか、新居の準備費用等(受贈者の賃貸借契約に限る)も含む
・子育て資金で非課税の対象となるものは、出産費用のほか、不妊治療や妊婦検診費用、受贈者の子の医療費や就学前の入園料と保育料等も含む
ただし、相続税法21の3①並びに相続税法基本通達21の3-5において、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために必要な都度贈与するものについては、そもそも課税価格に算入されない取扱いとなっているため、制度の利用にあたっては、あくまで一括で生前贈与をしておきたいケースに限定されることに配慮する必要がある。