2025-01-31
国税庁は12月20日、暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)を改訂し、所得税・法人税共通関係 1-4 暗号資産による寄附を行った場合と法人税関係 3-1-11 特定譲渡制限付暗号資産に該当する暗号資産の2問が追加され、下記の9問が更新された。
更新された9問はそれぞれ、所得税・法人税共通関係1問、所得税関係1問、法人税関係7問。
内容としては、所得税・法人税共通関係 1-5 暗号資産の取得価額、所得税関係 2-13 暗号資産の信用取引、法人税関係 3-1-2 暗号資産の譲渡原価、3-1-3 暗号資産の期末時価評価、3-1-4 活発な市場が存在する暗号資産、3-1-5 DEXにおいて取引される暗号資産、3-1-6 ステーキングのためロックアップした暗号資産の期末時価評価、3-1-7 貸付けをした暗号資産の期末時価評価、3-1-8 借入れをした暗号資産の期末時価評価、となります。
このFAQは、所得税、法人税、消費税、相続税・贈与税、源泉所得税の税目ごとと所得税・法人税共通並びに法定調書関係に区分して質問・回答が行われており、近年の暗号資産の取扱いに対する税務上の取扱いがわかりやすく解説されている。
今回追加された、所得税・法人税共通関係1-4暗号資産による寄附を行った場合は、自己が保有している帳簿価額5,000,000円の4BTCを認定特定非営利活動法人であるA協会の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附として、寄付金5,400,000円をX年4月2日にA協会が保有するウォレットに移転したことに対する税務上の取扱いについて質問したものである。
回答は、認定特定非営利活動法人に対する寄附金の額は、5,400,000円となり、帳簿価格5,000,000円と寄付金の額5,400,000円の差額400,000円は、暗号資産の譲渡に係る利益の額となるとされ、所得税法における扱いと法人税法における扱いについて解説されている。
また、法人税関係 3-1-11 特定譲渡制限付暗号資産に該当する暗号資産は、自社が保有する暗号資産A(自社が発行したものではない)に当事業年度中に移転制限を付すとともに、その旨を暗号資産交換業者に通知したが、暗号資産の情報が一般社団法人日本暗号資産取引業協会のウェブサイト上で公表されるのは翌事業年度となる見込みであるが、事業年度末に時価評価をする必要があるかどうかについて質問したものである(この暗号資産Aには活発な市場がある)。
回答は、保有する暗号資産Aについて事業年度終了時に時価評価する必要はないとされ、活発な市場が存在する暗号資産については、時価法により評価した金額をもってその時における評価額とし、その暗号資産を自己の計算において有する場合は、その評価額と帳簿価額との差額をその事業年度の益金の額又は損金の額に算入する必要があるが、一定の要件を満たす暗号資産については、時価法と原価法のうちその法人が選定した方法により評価した金額をもって事業年度終了の時における評価額とすることになるとされている。なお、評価方法を選定しなかった場合には、原価法により評価することになる。
(参考)暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf