令和7年度税制改正大綱解説【納税環境整備】

税務のデジタルデータの取扱いに関連する改正について、(1)背景、(2)内容、(3)適用時期、(4)注意点は以下の通りである。
 
(1)背景
事業経営や取引・財務に関する情報処理、決済の分野でもデジタル化が進展しており、納税者が簡便かつ適正に申告・納付を行うことができるよう、税務手続きのデジタル化を推進する必要があるとの観点から、次のような措置がとられた。
 
(2)内容
①重加算税の10%加重措置の除外
下記の要件を満たす場合、電磁的記録について仮装・隠ぺいがあった場合の重加算税の10%過重措置から除外される。
・電磁的記録の訂正・削除の履歴が残るシステムで授受及び保存をしていること
・電磁的記録の訂正・削除を行ったうえで帳簿データに記録した場合に、その訂正・削除の事実と内容を確認できるシステムを使用していること
・電子取引情報と帳簿記録との間で相互に関連性が確認できること
②納税通知書等に係るeLTAX経由での送付
納税通知書等を受けた者が電磁的方法による提供を希望する旨の申出をしたときは、地方公共団体は、当該納税通知書等により通知した事項について、eLTAXを経由し提供することができる。
③e-Taxによりイメージデータを送信する場合の要件の緩和
・現行、赤・緑・青の階調が256階調以上であるものについて、白色から黒色までの階調が256階調以上であるものに変更
・PDFファイル形式のみ認められていたものに、JPEG形式(代表的な画像保存形式の1つ)が追加
 
(3)適用時期
①令和9年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用
②法人に対する通知は令和9年4月1日以降に送達するもの、個人に対する通知は令和10年4月1日以後に送達するものから適用
③JPEG形式の追加について、令和10年1月1日から施行
 
(4)注意点
電子帳簿保存法のうち、電子取引保存については令和6年1月1日以降義務化が本格的に施行されているが、未だ正確な対応がなされていない事業者も多く、また電子申告等の技術に十分に対応しきれていない事業者も一定数見られる。上記のようなデジタル化に係る改正は今後も続くことが予想されるため、今一度各事業者のデジタル対応については再度確認しておく必要がある。