2025-02-17
国税庁は1月31日、「令和5年分の国外財産調書の提出状況について」を公表した。
国外財産調書制度は、適切な課税・徴収の確保の観点から、国外財産に係る情報の的確な把握への対応として創設された制度であり、平成26 年1月から施行されている。
制度の概要としては、居住者(非永住者を除く。)で、その年の12月31日においてその価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する者は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した「国外財産調書」を、その年の翌年の6月30日までに、住所地等の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。
令和5年分(令和5年12月31日時点)の国外財産調書の提出状況について、総提出件数は、13,243件で前年に比べ749件の増加、総財産額については、6兆4,897億円で前年に比べ7,675億円の増加となっている。
局別では、東京局が総提出件数の63.7%、総財産額の78.4%を占めており、前年に比べ総提出件数は538件増加し、総財産額は7,346億円増加している。
財産の種類別総額については、有価証券が前年に比べ6,336億円増加して4兆905億円で最も多く、総財産額の63.0%を占めており、次いで預貯金が8,479億円、建物5,064億円、貸付金 1,835億円、土地1,620億円、上記以外の財産6,993億円となっている。
なお、国外財産調書制度においては、自己の保有する国外財産に関する情報の提出を納税者本人に求める仕組みであることから、適正な提出を確保するため、過少申告加算税及び無申告について特例措置等が設けられている(国送法6、10)。
令和5事務年度における所得税及び相続税の実地調査の結果、特例措置を適用した件数及び対象となった増差所得等金額について、軽減措置は168件で67億円、加重措置については303件で105億円となっている。
国税庁では、引き続き制度の周知・広報に努めていくほか、国外財産調書の提出を要すると見込まれる者や記載内容に不備がある者に対して文書照会を行うなどの取組を継続し、その適正な提出を確保することを通じて国外財産に係る課税の適正化に一層努めていくこととしている。
(参考)令和5年分の国外財産調書の提出状況について
https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0025001-067.pdf