2025-03-05
㈱日本政策金融公庫は2月17日、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表した。この調査は、2024年12月中旬に取引先13,823社に対して実施され、有効回答数4,976社(回答率36.0%)を取りまとめたものである。
従業員の過不足感について、正社員が「不足」と回答した企業割合は57.7%、「適正」は36.4%、「過剰」は5.9%となっている。「不足」の割合は、前回調査である2023年実績(58.8%)から1.1ポイント低下した。業種別にみると、運送業(除水運)75.5%、建設業73.7%、宿泊・飲食サービス業71.8%などで「不足」の割合が高い。
人手不足の影響については、「売上機会を逸失」と回答した企業割合が41.7%で最も高く、次いで「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」が22.0%となっている。
人手不足への対応については、「従業員の多能工化」と回答した企業割合が44.5%で最も高く、次いで「業務の一部を外注化」が33.8%、「残業を増加」が27.1%となっている。
従業員数の増減について、正社員数を前年から「増加」と回答した企業割合は23.6%、「変わらない」は51.8%、「減少」は24.7%となっている。「増加」の割合は、前回調査(25.3%)から1.7ポイント低下した。2025年の見通しでは、「増加」と回答した企業割合は32.9%である。業種別にみると、情報通信業33.6%、宿泊・飲食サービス業29.7%、運送業(除水運)28.3%などで「増加」の割合が高い。
従業員の増加理由については、正社員では「将来への人手不足の備え」と回答した企業割合が56.9%で最も高く、次いで「受注・販売が増加」が38.5%、「受注・販売が増加見込み」が35.5%となっている。
賃金の状況について、正社員の給与水準を前年から「上昇」と回答した企業割合は75.2%、「ほとんど変わらない」は24.3%、「低下」は0.5%となっている。「上昇」の割合は、前回調査(68.0%)から7.2ポイント上昇した。2025年の見通しでは、「上昇」と回答した企業割合は68.1%である。業種別にみると、製造業81.5%、宿泊・飲食サービス業81.0%、小売業77.6%などで「上昇」の割合が高い。
正社員の給与水準上昇の背景については、「最低賃金の動向」と回答した企業割合が24.9%で最も高く、次いで「物価の上昇」の24.8%、「自社の業績が改善」17.3%となっている。
(参考)中小企業の雇用・賃金に関する調査