国税庁、ビットコインの利益は「雑所得」との見解

国税庁はこのほど、ビットコインなどの仮想通貨の取引で得た利益の所得区分について「原則として、雑所得に区分する」との取扱いを明らかにした。この取扱いは、国税庁ホームページ内の「タックスアンサー」の中で「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」として盛り込まれたもの。雑所得は累進課税されるため、大きく収益を上げた人ほどより多く課税されることになる。

タックスアンサーでは、(1)ビットコインは物品の購入等に使用できるものだが、このビットコインを使用することで生じた利益は所得税の課税対象となること、(2)このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されること、が示されている。

上場株式やFX(外国為替)による利益は申告分離課税の対象となり税率は一律20%となるが、雑所得は給与所得などと合わせて最大45%の累進課税の対象となる。また、上場株式等は損失が出た場合に3年間繰り越すことができるが、雑所得は他の所得と損益計算が一緒にできないので、雑所得のみで損益を考える必要があり、大きな利益がでたとしても過去の損失と相殺することはできない。

仮想通貨については、2017年度税制改正において課税関係の見直しが行われ、このビットコインなどの仮想通貨の譲渡については、2017年7月1日以降、消費税を非課税とする取扱いが決まっているが、所得税の取扱いが明らかになったのは今回が初めて。これまで取扱いがはっきりしていなかったため税務の申告をしていなかった人も多いとみられており、今後の確定申告では埋もれていた利益が一気に表面化しそうだ。

なお、今回国税庁がビットコイン取引における利益は「雑所得」として課税されるという見解を示したが、今後法律として施行されるためには国会で法整備される必要がある。2018年度税制改正において手当されることになると思われるが、適用時期については未定であるため、来年の確定申告に間に合うかは不透明だ。また、以前は雑所得だったFXと同様に、仮想通貨も将来的には分離課税に変更される可能性を指摘する向きもある。