2017-10-25
事業用の固定資産を購入した場合、金額によってどのように会計処理をするかを選ぶことができる。まず固定資産とは、会計上、貸借対照表の資産の部に計上されるもので、具体的には、建物やコピー機、パソコンなど多様多種なものがある。固定資産のうち、減価償却資産は、耐用年数に応じて減価償却を行っていく。耐用年数は、使用可能期間のことで、資産の種類ごとに決められており、実務上はその期間で減価償却していく。
例えば、パソコンを購入した場合は、国税庁の分類で「器具備品」-「電子計算機」-「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)」は4年とあり、つまり4年で減価償却をしていくことになる。減価償却費は使い始めた月からの月割計算となるので、事業年度の最後の月に使用開始した場合は、1年分の12分の1だけが費用になる。例外を除き、会計で処理したそのままの金額が税務でも使用される。
次に一括償却資産は、税務上、“一括償却資産の3年償却”という特例があり、その対象となる資産を一括償却資産という。この特例を選択すると、耐用年数に関係なく、事業に使用した年を含めた3年間で均等償却をすることになる。要するに取得価額の3分の1ずつ損金算入する。一括償却資産となるのは、減価償却資産のうち、取得額が20万円未満のものに限られる。
20万円未満の判定は、事業者が、税込経理であれば消費税を含んだ金額で、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定する。一括償却資産は、期の途中で使用を開始しても、月数按分をしない点に注意が必要となる。また途中で売却や廃棄したとしても除却損を認識せず、あくまで均等償却を続ける。例えば、パソコンは、耐用年数が4年だから、一括償却資産として償却したほうが1年早く償却し終わるということになる。
パソコンであれば、一括償却資産のほうが償却期間は短くなるが、減価償却には、初年度に多額の償却を行う定率法という方法もあるので、どちらか有利かは、一概に言えず、計算しなければ分からない。また一定の要件のもとに30万円未満の減価償却資産を一度に全額損金に算入できる「少額減価償却資産」の特例もあるので、会社の状況を考慮しながら、一番有利な方法を判断することになる。
20万円以上の資産は一括償却資産とすることはできないが、20万円以上30万円未満のものは、購入した年度に全額経費にできる「少額減価償却資産」の処理も可能だ。ただし、対象は中小企業者(主に資本金1億円以下の中小法人と個人事業主)に限られ、また、少額減価償却資産として処理する資産の合計額は1年で300万円が上限となる。なお、30万円以上の資産は固定資産として計上することになる。