消費税転嫁対策取締り、9月末までに3616件を指導

経済産業省はこのほど、消費税転嫁対策特別措置法が施行された2013年10月1日から2017年9月末までの主な転嫁対策の取組状況をとりまとめ公表した。同省では、2014年4月の消費税率引上げを踏まえ、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、公正取引委員会とも連携して、(1)監視・取締り対応、(2)広報・相談対応を一体的に実施し、転嫁拒否行為の未然防止、違反行為への迅速な是正を行っている。

監視・取締り対応の取組みでは、買手側(特定事業者)の転嫁拒否行為に対しては、転嫁対策調査官(転嫁Gメン)による監視・取締りを行っており、2017年9月末までの累計(公正取引委員会との合算)で、調査着手9524件、立入検査4868件を行い、指導を3616件(うち大規模小売事業者146件)、措置請求を8件、勧告・公表を40件(同7件)実施。これまで中小企業庁が行った措置請求8件は、公正取引委員会が勧告・公表している。

2017年9月末までの勧告・指導件数3656件を業種別にみると、「製造業」が864件(うち勧告1件)で最も多く、「情報通信業」が474件(同3件)、「建設業」が450件(同4件)で続く。また行為類型別では、計3753件のうち、「買いたたき」が3286件(同40件)と全体の88%を占めて圧倒的に多く、次いで「本体価格での交渉の拒否」258件、「減額」137件(同3件)、「役務利用・利益提供の要請」72件となっている。

勧告事例をみると、教育講座の運営等の事業を行う(株)ニチイ学館は、教育指導業務を委託している個人事業者に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに委託料を据え置いて支払ったとして、「買いたたき」により2017年9月14日に勧告されている。なお、経産省では、消費税の転嫁状況を定期的に把握するため、2014年4月から、事業者に対して転嫁状況に関する月次モリタリング調査を毎月実施してきた。

8月の月次モリタリング調査結果(有効回答数8480事業者)によると、転嫁状況については、事業者間取引では89.4%、消費者向け取引では78.7%の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、前月と比べて、それぞれ+0.5ポイント、+0.3ポイント増加。「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では1.6%、消費者向け取引では3.1%で、前月と比べて、それぞれ▲0.7ポイント、▲0.2ポイントと減少している。

この件については↓
http://www.meti.go.jp/press/2017/10/20171020008/20171020008-2.pdf