会社が社員に支給する制服等の非課税条件に注意!

会社が従業員に対して作業服や事務服、制服等を支給しているケースは少なくないが、支給条件等を誤ると課税されてしまう恐れがあるので注意が必要だ。使用者が、その職務の性質上制服を着用すべき従業員に対して、制服その他の身の回り品を支給することによる経済的利益については、所得税法上、非課税所得とされており、専ら勤務場所のみで着用する作業服や事務服等についても同様に取り扱ってよいことになっている。

しかし、この場合において非課税とされるのは、専ら勤務場所において着用する事務服等の「現物」による支給だ。勤務場所以外でも着用できる私服の支給や、制服手当てのように現金で支給される場合には給与として課税されることになる。例えば、私服として着用できるスーツを制服として支給した場合は、所得税法上非課税とされる制服等には当たらないことから、給与等として源泉徴収する必要がある。

税務上、事務服・作業服等の支給が非課税とされる要件は、(1)専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないこと、(2)その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を支給の対象とすること、(更に厳格にいえば、それを着用する者がそれにより一見して特定の職員又は特定雇用主の従業員であることが判別できるものであること)が必要とされている。

従って、スーツのように、私用で着用可能なものは原則、非課税とはならないが、例えば、会社が現物支給するスーツであって、社名やロゴマークが刺繍されているなど職務でのみの着用が想定される場合には、経費として認められる可能性はある。ただし、社名やロゴ等がスーツの裏地に付けられていたり、簡単に隠せるなどの場合には、私服として使用できる可能性が高くなり、所得税が課税される制服に該当する可能性が高くなると考えられる。

基本的な考え方は、制服等の支給は、給与所得者の職務の遂行上欠くことができないと同時に、その給付は使用者自身の業務上の必要性に基づくものであって、給与所得者の勤務条件上も使用者が負担すべきものとされている場合が多く、その費用を支出すべき主体は、使用者とみることができ、給与所得者の役務提供に対する対価という性格が極めて希薄であることから、一定の制服の支給を非課税として取り扱うこととしているというものだ。