京都市、全宿泊施設を対象とする宿泊税導入条例を可決

京都市は2日、9月定例会本会議において、市内全ての宿泊施設の利用者に「宿泊税」を課す市条例案を賛成多数で可決したことを明らかにした。全ての宿泊施設の利用者に宿泊税を課すのは全国初となる。条例は、「税の公平性等を担保するため、急増する民泊を始め違法に営業している宿泊施設への宿泊を確実に捕捉し、宿泊税を徴収する」との付帯決議を付した。宿泊税の課税には総務相の同意が必要で、2018年10月の施行を目指す。

宿泊税の税率は、宿泊者1泊につき、宿泊料金が2万円未満の場合は200円、2万円以上5万円未満の場合は500円、5万円以上の場合は1000円の3段階とする。すでに宿泊税を導入している東京都と大阪府の場合は1泊1万円未満の場合は課税しておらず、東京都は1万5000円以上で200円、大阪府は2万円以上で300円が最も高い税額となっており、京都市の宿泊税は最高額となる。

宿泊税の納税義務者は、ホテル、旅館、簡易宿所等のほか、いわゆる違法民泊等への宿泊者も含めた、全ての宿泊者とし、徴収方法は、自治体以外に地方税を徴収してもらう特別徴収とし、旅館業や住宅宿泊事業者を営む者が特別徴収義務者となる。ただし、修学旅行その他学校行事に参加する児童や生徒、学生(大学生は除く)とその引率者には課税しない。税収は、初年度が約19億円、平年度が約45億6000万円を見込んでいる。

税収の使途について、京都市は、「入洛客の増加等により、受入環境整備や交通渋滞対策などの喫緊の課題が生じており、市民生活に影響を及ぼし、市民が負担に感じているものもあることから、これらの課題に対応する行政サービスの一層の充実を図り、課題を解決するために用いる」として、入洛客の増加など、観光を取り巻く情勢の変化に対する受入環境の整備や、京都の魅力の国内外への情報発信の強化などを掲げている。

さらに、近年課題となっている「京町家の保存・継承」、「道路の渋滞や公共交通機関の混雑対策」、「違法民泊の適正化」などについても、宿泊税を財源として、今後、取組みを進めていく予定という。いわゆる違法民泊については、来年には民泊を解禁する「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行され、住宅宿泊事業の届出がされると見込まれることから、この届出の情報を基に、対象施設の捕捉が可能との考えを示している。