2016事務年度法人税調査、申告漏れ総額は8267億円

国税庁が7日に公表した今年6月までの1年間(2016事務年度)における法人税等の調査事績によると、大口・悪質な不正計算が想定されるなど調査必要度の高い9万7千法人(前年度比3.5%増)を実地調査した結果、うち約74%に当たる7万2千件(同3.7%増)から総額8267億円(同0.5%減)の申告漏れを見つけた。追徴税額は1732億円(同8.8%増)。調査1件当たりの申告漏れ所得は853万円(同3.9%減)となる。

調査した20.6%(不正発見割合)に当たる2万件(前年度比7.0%増)が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は前年度比7.2%増の2543億円で2年ぶりに増加。1件当たりでは同0.2%増の1286万円となった。また、法人消費税については、法人税との同時調査で9万3千件(同3.4%増)の実地調査を実施。うち、5万5千件(同4.8%増)に非違があり、税額785億円(同39.0%増)を追徴した。

不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が62.5%で15年連続のワースト1位。「バー・クラブ」は、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連。以下、前年ランク外の「外国料理」(45.3%)、同2位の「大衆酒場、小料理」(37.7%)、同5位の「廃棄物処理」(30.5%)、同4位の「自動車修理」(28.9%)の順で続く。

また、1件当たりの不正所得金額が大きい10業種では、「水運」が6442万円で前年の3位から1位に、次いで前年1位の「民生用電気機械器具電球製造」(4272万円)が2位、以下、「精密機械器具卸」(3097万円)、「パチンコ」(3081万円)、「再生資源卸売」(2936万円)と続く。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は1472万円、2位の「外国料理」は613万円で、ともにランク外だった。

なお、源泉所得税については、2016事務年度は11万6千件(前年対比2.0%増)の源泉徴収義務者について実地調査を行い、このうち、非違があった源泉徴収義務者は3万5千件(同3.7%増)で、その追徴税額は重加算税適用税額61億円を含む281億円(同35.5%減)だった。追徴税額の本税額(251億円)では、「給与所得」が182億円と約73%を占めてダントツのトップ、「非居住者等所得」43億円、「報酬料金等所得」14億円で続いた。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf